美容外科話

COLUMN

隆鼻術(シリコン・軟骨・ヒアル)
第129話

軟骨で鼻を高くする!!

鼻を軟骨で高くするのは、鼻シリコン隆鼻に比べ、技術的にも断然難しく、また手術後に形の修正が出来ないというリスクがあるために、一般的(一部の先生は自家組織を非常に好まれ、異物を最初から使いません)ではなく、鼻シリコンの挿入後トラブルの場合や患者さんが異物挿入を嫌う場合に行われる手術です。したがって頻度的にも少なく、他ではあまり説明されていないようですので、今回は軟骨移植による隆鼻術をご紹介したいと思います。この話に御写真を御提供していただいたモニターの方には、この場をお借りして深く感謝いたしたいと思います。

今回の方は他院で何回かシリコンを入れ替えているのですが、形が気に入らない、シリコンがずれてしまっているということで来院されました。
これが初回の手術であれば、移植軟骨の方法も色々と考えられるのですが、シリコンを何回か出し入れしたために組織が硬くなっていること、従って形がきれいに出るか疑問であること、シリコンが挿入されていた部分に空間ができているために同部位に軟骨移植をしてもずれる可能性がある事を考慮して、2回の手術に分けてやることにしました。1回目の手術で、鼻尖形成(軟骨縫縮、軟骨移植)を計画し、2回目の手術(鼻背部軟骨移植)で

1.シリコンと同程度に鼻根部の高さを維持する
2.正面から見た時に鼻筋が真直ぐになるようにする
3.鼻尖の位置を下げる

という計画を立てました。
BeforeBefore
AfterAfter

ここで、術前の状態(写真1, 2)と2回目手術後1カ月(写真3, 4)の状態を比べていただきたいと思います。術前の鼻を正面から見るとシリコンが曲がって入っているのが分かると思います。また側面では、鼻尖部の位置が上がってしまっている(写真中の矢印部分)のが分かると思います。初回の手術で抜去したシリコン(写真5)をお見せしますが、上下の長さが若干短すぎたことが分かります。2回目の手術でこれに見合うように軟骨をデザインしましたが、使用する量が多いので耳介軟骨を採取する際には、採取する軟骨のデザインにも気を遣いました。2回目手術時に軟骨を加工した状態をお見せしますが、1回目の手術で鼻尖は細く、若干高くしてあるので、鼻尖部には及ばない長さの軟骨をデザインし、鼻根部の高さを出すためにこの部分は軟骨を3枚重ねました(写真6)。このように加工した軟骨をシリコンと同様に挿入いたしました。

After
自家組織の良い点は“自分の体によくなじむ”ということだと思いますが、初回の手術では、術後の形が気に入らない等の状況に対応出来ないため、個人的にはシリコンをお勧めするようにしています。
今回のように手術が高度になればなるほど失敗は許されないので、担当医選びは非常に重要な要素になると思います。術前に、担当された患者さんの写真を見せていただくなどして、担当医選びを慎重にしていただきたいと思います。

『美容外科話』著者

  • 山本 豊【山本クリニック院長】

    1992年 東京医科大学卒業。2004年8月 山本クリニック設立。
    美容外科の手術を中心に行っているクリニック。 他院手術トラブル修正手術、海外で受けた修正手術にも対応している。日本アンチエイジング外科・美容再生研究会 元指導医。医療法人社団 豊季会 理事長。資格:医学博士(甲種)、日本外科学会認定医、日本アンチエイジング外科学会 名誉理事、JAASアカデミー最高指導医。