美容外科話

COLUMN

鼻の他院修正手術

鼻注入物(エンドプロテーゼ、アクアミド)のトラブル?

鼻シリコンのトラブルについては、以前に書きましたが、今回は異物を注入後に修正手術を希望された方を治療いたしましたのでご紹介したいと思います。この話にご協力いただいたモニターの方々には、この場をお借りして深く感謝いたします。

まずエンドプロテーゼの方をご紹介したいと思います。

この方の術前の状態と術後2ヶ月の状態をお見せしますが、違いが分かりますでしょうか?というよりも術前の問題点がお分かりいただけるでしょうか?

BEFORE
術前
AFTER
術後2ヶ月

この方のご要望は、“エンドプロテーゼを鼻全体に入れたが、最近になって鼻先が太くなってきた。心配なので、鼻先のエンドプロテーゼを除去し、他の方法で今と同じ高さと今よりも若干細い鼻先にして欲しい。

ただし、手術はあくまで鼻先だけで、他の部分は気に入っているので、手を加えないで欲しい”というものでした。

エンドプロテーゼは、小さいブロック状の注入物で、液体ではないので、摘出は容易です。ただし、形を微調整して入れることが難しいと思います。

また、重力による下方移動も懸念されます。

この方は、他院で施術されていますので、術前の状態からどの程度注入したのかは定かではありませんでしたが、治療として、

1.鼻先のみのエンドプロテーゼを摘出する

2.鼻尖軟骨を縫縮することにより、幅を狭くして高さを出すという計画を立てました。


エンドプロテーゼ
エンドプロテーゼ

術中の状態をお見せしますが、白い小さなブロックのようなものが、エンドプロテーゼです。
術後の状態は、ご本人のご希望にほぼ近く仕上がっていると思います。

手術中の状態/切除した状態
手術中の状態/切除した状態

エンドプロテーゼと対照的なのが、アクアミドです。この方は、注入後、徐々に腫れてきたそうです。

治療方針は、エンドプロテーゼと同様ですが、皮膚や組織に一体となるように癒着しているので、摘出(切除)する手間が比較にならないくらい難しいという問題点があります。

手術の切開部位も、操作がしやすいように鼻を鼻柱から開ける必要があります。

手術中の状態をお見せしますが、鼻の真ん中に白く見えるのがアクアミドです。

これらを切除した状態と比較していただけるとアクアミドがどのように注入されていたかがお分かりいただけると思います。

取り除いたアクアミド
取り除いたアクアミド

こうして取り除いたアクアミドをお見せします。
このようにバラバラにしながら切除します。

今回は、異物注入後の手術をご紹介しましたが、同じ異物でもこのように治療方法や難易度が変わります。

このような施術後の次の治療も安心して、同じ担当医にご相談できるような環境で治療に望んでいただきたいと思います。

『画期的な新製品が出ました』というメーカー側の言い分を鵜呑みにしないように、我々医師側も患者さんとよく相談した上で治療方法を決める必要があると思います。

治療費、施術費に関しては、こちらを御覧下さい。
https://dr-yamamoto.com/cost/

アクアミドが入ってますが、鼻先の手術って出来ますか?

アクアミド注入後の鼻尖形成術(団子鼻手術)

今回ご紹介するのは、『アクアミド注入後に鼻尖形成術(団子鼻手術)を行った方』です。

この方は、他院にてアクアミド注入を受けているのだけれども『鼻尖の形状を少しすっきりさせたい』というのがご希望でした。

当院では、鼻尖や鼻根部にアクアミドを以前に注入したという方にお会いすることも珍しくありません。

手術としては、アクアミドを除去してから手術しなくてはいけないので、ひと手間がかかりますが、アクアミドを除去することは、手術にあまり問題を起こさないことが多いと思っています。

この方にも、鼻尖部のアクアミドを除去して、鼻尖形成術(団子鼻手術)を行いました。

まず、正面の術前(写真1)と術後3か月(写真2)の状態を比較していただきたいと思います。

BEFORE
術前(写真1)
AFTER
術後3カ月(写真2)

鼻尖が細くなり、鼻筋も通って、鼻が少し高くなったように見えるのがお分かり頂けると思います。


術前(写真3)術後3カ月(写真4)
術前(写真3)術後3カ月(写真4)

横顔で比較して頂くと、鼻先位置が少し下に移動して、高さも若干高くなったことが、比較出来るのではないでしょうか(写真3, 4)。

術前(写真5)術後3カ月(写真6)
術前(写真5)術後3カ月(写真6)

斜めから見て頂くと、何となくすっきりとした感じになっているのがお分かりいただけるはずです(写真5, 6)。

摘出した糸
摘出した糸

いまだに外来で、『鼻先の手術をすると、アップノーズになってしまう』と他院で言われた方にお会いすることがあります。

これは、左右の鼻翼軟骨を単純に寄せ合わせるだけの場合の話です。

私の手術は糸のかけ方、軟骨の処理の仕方に『一工夫』を凝らしています。

ここで、ちょっと話はそれてしまうのですが、この方の手術中に鼻先の組織とともに『糸』が出てきました(写真7)。

ご本人は、全く認識がなく、『前の担当医が勝手に入れた』とおっしゃっていましたが、術中の所見で何故必要だったのか、あるいは、ご本人が忘れてしまったのか、そもそもこの糸の意味があるのか等私には、分かりません。

術前のカウンセリングや見積もりを頂く際には、手術内容を明記したものをお受け取り頂くことを強くお勧めします。

また、料理の名前が同じであっても、レストランによって『全く別物』であることは、一般的に認知されているのですが、手術も担当医によって、『別物になってしまう』ことは、認知されていないように感じます。

術前には、担当医の手術した術前術後をよくご覧になって、担当医がどのような手術をするのかを検討されることが何より大事だと思います。

施術名:移植物除去(アクアミド除去)+鼻尖形成修正術

施術内容:他院にて注入されたアクアミドを摘出し、鼻尖の形状をすっきりさせる

施術料金:移植物除去(術中に行う)通常料金¥66,000(税込)モニター料金¥56,100(税込み)
     鼻尖形成修正術 通常料金¥330,000(税込)モニター料金¥280,500(税込)

副作用(リスク):鼻先にテープ固定、皮下出血の可能性

『美容外科話』著者

  • 山本 豊【山本クリニック院長】

    1992年 東京医科大学卒業。2004年8月 山本クリニック設立。
    美容外科の手術を中心に行っているクリニック。 他院手術トラブル修正手術、海外で受けた修正手術にも対応している。日本アンチエイジング外科・美容再生研究会 元指導医。医療法人社団 豊季会 理事長。資格:医学博士(甲種)、日本外科学会認定医、日本アンチエイジング外科学会 名誉理事、JAASアカデミー最高指導医。