美容外科話

COLUMN

へそ形成
第89話

臍の形成手術

第35話でお臍のことについて若干触れましたが、術式については、ほとんど言葉で簡単に書いただけでしたので、今回は術式の具体的なことを写真でお見せしようかと思います。患者さんからは、ホームページに関して時々コメントをいただくのですが、お臍は言葉だけでは分かり難いとのご指摘を最近受けましたので、この話を書く気になりました。

今回、この写真の掲載を快諾していただいた方には、この場をお借りして深く感謝いたします。
BeforeBefore

術前

AfterAfter

術後1週間

以前書きましたように、手術は大きく2つに分かれますが、この方の場合は、皮下の組織が厚くなっている場合でした。術前の写真をお見せいたしますが、お臍の中の右側の皮膚が厚くなっているのがお分かりいただけると思います。また、深さも浅く見えます。
したがってこの方の場合、1.右側の皮膚を中心に薄くする 2.お臍が深く凹んで見えるように皮膚を固定する 3.全体的に縦長の感じになるようにデザインするということを計画しました。
 手術は局所麻酔で行いました。切開の方法に関しては、若干の術者の好みがありますが、私は好んで縦で、傷がお臍の外に出ないようにデザインして手術するようにしています。術中の写真をお見せしますが、このように厚くなった皮膚を裏側からハサミで薄くします。

After

手術直後

この後は、少しづつ皮膚を縫い合わせながら形を整えますが、なかなか術前にシュミレーションしにくいのが現状だと思います。第35話でも書きましたように案外クレームは少ないのですが、私の場合は、あらかじめこのように“縫いながら調整するので、形の雰囲気しか合わせられませんよ”と宣言して逃げてしまっているためかもしれません。手術直後の写真をお見せしますが、お臍の形が縦長になって、深くなったのがお分かりいただけると思います。通常は溶ける糸で縫って、抜糸をしないことも多いのですが、形を微調整したいときには、溶けない糸で縫う方が楽なので、使い分けるようにしています。この方の場合は、溶けない糸を選択いたしました。
After

術後1週間

この後、約2週間の圧迫と前回は書きましたが、形が落ちつくのに1ヶ月位かかる方もいらっしゃったので、最近は“1ヶ月位の圧迫が必要です”とご説明しています。この方には、1週間後に傷をチェックする目的で来院していただいたのですが、腫れもほとんどなく順調でした。このときの写真もお見せしますが、術前に比べて形の変化がお分かりいただけると思います。この後さらに1週間後(手術してから2週間後)に抜糸をしました。以上が、大体の経過ですが、この手術は術前の担当医との打ち合わせがなかなか難しいと思いますので、術者に“お任せして欲しい”手術なのではないでしょうか?
最近は、お臍を出す機会が増えて、この手術が増えた気がしますが、術中に縫いながらどうした方が綺麗かと悩むことも多いので、“単純であるがゆえに奥が深い手術”だと思っています。

『美容外科話』著者

  • 山本 豊【山本クリニック院長】

    1992年 東京医科大学卒業。2004年8月 山本クリニック設立。
    美容外科の手術を中心に行っているクリニック。 他院手術トラブル修正手術、海外で受けた修正手術にも対応している。日本アンチエイジング外科・美容再生研究会 元指導医。医療法人社団 豊季会 理事長。資格:医学博士(甲種)、日本外科学会認定医、日本アンチエイジング外科学会 名誉理事、JAASアカデミー最高指導医。