鼻のシリコンを挿入については、何回か書きましたが、今回は、他院で手術したシリコンの形状が合わなかった方をご紹介いたします。
このお話にご協力いただいたモニターの方には、この場をお借りして深く感謝いたします。
まず、術前と術後1ヶ月の状態を比較していただきたいと思います。
術前の横から見た状態が分かりやすいと思いますが、鼻先が上を向いてしまっている『アップノーズ』になってしまっています。
前医での治療の全貌が分かりませんので、術前診察で、完璧な治療計画を立てるのは非常に難しいです。
触った感じでは、鼻根部の高さにシリコンが影響をあまり与えていないこと、L字型のシリコンの足の部分が長く鼻先を押し上げている可能性が高い印象を受けることから、
1.シリコンは抜去したままで、再度挿入しない
2.鼻先の軟骨を縫縮する
3.鼻先の高さが足りなかった場合は後日鼻先に軟骨を移植する
という計画を立てました。
治療は、術前計画の通りに、シリコンを抜去し、鼻先の軟骨を縛り合わせました。
この時、縛り合わせる軟骨に癖をつけ、曲げてから縫縮することにより、鼻先を細くして高さを出しました。
実際の手術で摘出したシリコンをお見せします。
鼻根部を含め、全体的に高いわけではなく、L字型のシリコンの足の部分が長いのがお分かりいただけると思います。
このように、『鼻先を高くする』場合に、『シリコンを高くする』という術式を受けられている方にも時々お会いします。
この方の治療を振り返ってみると、最初の術前計画を、シリコン挿入ではなく鼻尖軟骨縫縮が正解だったと言えます。
鼻の手術で、ご本人の希望をお聞きした上でどのように手術を計画するかということは、非常に大事です。
どのような手術でも、術前カウンセリングが大事であることは常々お書きしていますが、疑問に思う事がある場合には、複数医師の診察を受け、術前計画を練ることも非常に大事だと思います。
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