はじめに、この御写真をご提供いただいたモニターの方に、この場をお借りして深く感謝いたします。
お臍の手術の術式は、何回か書きましたが、非常にシンプルで、基本的な手技はいつも同じです。しかし、仕上がりには、『お臍の元の形』に影響を受けることが多いので、今回は、お二人方の経過をお見せすることで、イメージをつかんでいただきたいと思います。
まず、一人目の方ですが、術前(写真1, 2)と術後3ヶ月(写真3, 4)の状態をお見せいたします。
この方の場合は、“でべそ”というよりも“臍窩(お臍の深さ)が足りない”状態で、お臍の深さを深くするように工夫する必要があります。しかし、腹壁(お腹の皮膚から内臓までの距離)の厚さには限度がありますので、必然的に限界が決まってしまい、この方は、腹壁が薄いので、単純に深くするのは難しいと思われますので、斜めに掘り下げることにより深さの距離を稼ぎます。
術直後の状態(写真5)をお見せしますが、頭側が足側よりも深くなっている(穴が斜めになっている)のがお分かりいただけますでしょうか?
次の方は、一見すると似た感じに思われるかもしれません。術前(写真6, 7)と術後3ヶ月(写真8, 9)の状態をお見せしますが、お臍の感じがすっきりしたのがお分かり頂けると思います。
この方は、お臍の深さ自体には問題がないのですが、お臍の壁の皮膚が余っています。状態原因に違いがありますので、必然的に術式も若干異なり、“余った皮膚を切除する”事に重点を置いて手術をします。
このように、どの方も基本的には同じ手術ですが、お臍自体の深さの作り方や皮膚の切除の仕方にセンスと経験が必要となります。いつもご紹介していますが、私のお臍の手術方法は、“傷がお臍の外につかない”ということが、最大の特徴です。
他院で手術を受けられた方で、お臍の外に傷がついている方にお会いすることもありますが、担当医によって手術が変わってしまうこともありますので、術前にどのような傷になるのかも、十分に説明を受けられることをお勧めします。
特に場合によっては、腹膜を開けるという消化器外科の経験が必要になることもありますので、外科医としての経験値があるか否かも担当医選びには、大事かもしれません。