お臍の手術は、外科では“臍ヘルニア”という病気で手術を多く手がけたので、形成外科的な手術まで合わせると、かなりの症例数を経験しているために、私としては得意な手術の1つです。
また、患者さんから文句を言われた経験もないので、好きな手術でもあります。
この話はモニターの方にお写真を提供していただいたので、この場をお借りして深く感謝いたします。皆さんには、今回の方をご紹介することで、バリエーションの1つを認識していただければ幸いです。
第89話(掲載期間終了)でお臍の術式については、ほとんどお見せしましたので、今回は、あまり目新しいことはありません。
以前に書きましたように、術式自体は非常にシンプルですので、術式については、触れずにこの方の場合についてご説明しようかと思います。
第89話の方と同様に、この方も皮下の組織が厚くなっている場合でした。術前の写真(写真1、2)をお見せいたしますが、お臍の中の右側の皮膚が厚くなっているのがお分かりいただけると思います。ただ、前回の方との違いは、お臍の下の部分は深さがあることでした。
そこでこの方の場合、1.右側の皮膚を中心に薄くする 2.お臍の上の部分の深さを深くする 3.お臍の下の部分はあまりいじらないということを計画しました。
手術は局所麻酔で行いました。切開の方法は、前回もご説明したように、縦切開で、傷がお臍の外に出ないようにデザインしました。術前にご本人にもご説明しましたが、術後の出来上がりをシュミレーションして見せられないのですが、この方の場合は右の上のほうの出っ張りが改善すれば良いとのオーダーでしたので、比較的自信を持って請け負うことが出来ました。
手術直後の写真をお見せしますが、お臍の中の出っ張りが減って全体的に深くなったのがお分かりいただけると思います。前回の方は溶けない糸で縫いましたが、今回は抜糸をしない溶ける糸で縫いました。
術後の経過をお示しするほどまだ時間が経過していないので、前回の方の状態をお見せします。
術直後の状態と大きな違いがないのがお分かりいただけると思います。
季節柄お臍を出さなくなったので、手術を受けるには良い季節になったのか、私のところにも夏とは比較にならない位に患者さんがいらっしゃるようになりましたが、確かにお臍を隠しておけるので、手術には良い時期なのかもしれませんね。