第35話でお臍のことについて若干触れましたが、術式については、ほとんど言葉で簡単に書いただけでしたので、今回は術式の具体的なことを写真でお見せしようかと思います。患者さんからは、ホームページに関して時々コメントをいただくのですが、お臍は言葉だけでは分かり難いとのご指摘を最近受けましたので、この話を書く気になりました。
今回、この写真の掲載を快諾していただいた方には、この場をお借りして深く感謝いたします。
今回、この写真の掲載を快諾していただいた方には、この場をお借りして深く感謝いたします。
以前書きましたように、手術は大きく2つに分かれますが、この方の場合は、皮下の組織が厚くなっている場合でした。術前の写真をお見せいたしますが、お臍の中の右側の皮膚が厚くなっているのがお分かりいただけると思います。また、深さも浅く見えます。
したがってこの方の場合、1.右側の皮膚を中心に薄くする 2.お臍が深く凹んで見えるように皮膚を固定する 3.全体的に縦長の感じになるようにデザインするということを計画しました。
手術は局所麻酔で行いました。切開の方法に関しては、若干の術者の好みがありますが、私は好んで縦で、傷がお臍の外に出ないようにデザインして手術するようにしています。術中の写真をお見せしますが、このように厚くなった皮膚を裏側からハサミで薄くします。
この後は、少しづつ皮膚を縫い合わせながら形を整えますが、なかなか術前にシュミレーションしにくいのが現状だと思います。第35話でも書きましたように案外クレームは少ないのですが、私の場合は、あらかじめこのように“縫いながら調整するので、形の雰囲気しか合わせられませんよ”と宣言して逃げてしまっているためかもしれません。手術直後の写真をお見せしますが、お臍の形が縦長になって、深くなったのがお分かりいただけると思います。通常は溶ける糸で縫って、抜糸をしないことも多いのですが、形を微調整したいときには、溶けない糸で縫う方が楽なので、使い分けるようにしています。この方の場合は、溶けない糸を選択いたしました。
最近は、お臍を出す機会が増えて、この手術が増えた気がしますが、術中に縫いながらどうした方が綺麗かと悩むことも多いので、“単純であるがゆえに奥が深い手術”だと思っています。