以前、第51話で目頭切開の術式のご説明と実際の縫合の写真をお見せし、第68話で、術前後の形の効果の比較について書きました。
その後、外来で患者さんに“実際にどんな感じで手術されるのですか?”と質問される事も多いので、今回は、補足的に書いてみようかと思います。
最近感じるのですが、私が数年前にインターネットで、術直後の状態や糸が付いた写真を載せ始めた時は一部の先生からは、そこまで患者さんに見せる必要はないのではないか?等のご指摘も頂いたのですが、最近では術後に腫れないとの宣伝文句も減少し、また術後ノーメイク写真をも使われるようになってきたので、私がこのホームページを書いていることも少しは意味があるのかもしれないと思っています。
今回、この話に写真を提供していただいた患者さんには、この場をお借りして深く感謝いたします。
例によって、これは私の手術ですし、目頭切開の術式自体もいくつかありますので、一つの術式として参考程度に考えていただけたら良いのではないかと思います。
今回は、手術自体の説明は、省かせていただき、全体的な流れについて説明してみようかと思います。
まず、麻酔ですが、局所麻酔ですので目頭に直接針を刺します。この瞬間が痛いようです(写真1)。
以前に書いたように、蒙古襞に切れ目を入れて縫い合わせる訳ですが、皮膚をハサミで切り取り、切れ目を入れると皮膚が開きます(写真2)。
この切り具合と中の組織の切除の仕方によって開き方を若干調整します。
最近、私の外来で、“内側の靭帯の処理はどうするのですか?”と非常に専門的なご質問を受けましたが、靭帯自体がどのようなものかを分かっていらっしゃらなかったので、この機会に皆さんにもお見せしようかと思います。
ピンセットでつまんでいる白い部分が靭帯です(写真3)。
靭帯は目を内側に引っ張っているひもみたいなものですので、これを縫い縮めることにより目を中央に寄せることが出来るのですが、通常はこの処理よりも皮下の組織を調整することを私は好んでやっています。
この後は、皮膚を縫い合わせるのですが、この様子は第51話を参照していただけたらと思います。
インターネットで勉強された方から、このように細かい質問も受けるようになったのですが、私は個人的に良い傾向だと思っています。
また同時に間違った知識を頑なに信じている方にもお会いしますが、担当医の言葉が信じられないと手術は成り立ちませんので、患者さんには術前の担当医との術前診察を非常に大事にしていただきたいと思います。
また、最近見えた方で、“紹介状がないと診てもらえないので他院の紹介状も書いてもらえますか?”というような方がいらっしゃいましたが、紹介状を書くことは問題ありませんので、この様な場合にはいらして下さい。
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