美容外科話

COLUMN

目の他院修正手術

二重切開線(へこみ)の修正、その2

第65話で、二重切開線のへこみの修正について話を書きましたが、一見似ていて、かなり異なる方の治療をさせていただいたので、これについて書いてみようかと思います。

今回この話に写真掲載を許していただいた患者さんには、この場をお借りして深く感謝いたします。

以前、“私が想像もつかない状態でへこんでいる”方にお会いする旨を書きましたが、今回の方は、まさにその状態でした。

BEFORE
(写真1)
AFTER
写真2

まず術前の状態ですが、閉眼時は皮膚がかなりへこんでいるのがわかり、開眼時は二重のラインが不自然な感じがすると思います(写真1,2)。

二重切開線の修正方法について

術中に、それぞれの層を剥離して、さらに付近にある組織を寄せ合わせて、“強引に”底を作ってみました。

術後1週間の抜糸時の状態をお見せしますが、かなり深くまで、また色々な操作を加えたので“かなり腫れて”いて、皮下出血も認めます(写真3,4)。

このように、
1.手術中の操作が多い程腫れ、皮下出血もひどくなる
2.前回の手術の操作が不明だと修正時に苦労する
という事になります。

また、最悪の場合、状態が改善しないこともあり得ます。

ただ、この方の場合は、抜糸の段階で“凹み”は大分改善されたのがお分かりいただけると思います。


写真3
写真3

ちなみに切開した時に確認しましたが、瞼板の前の組織(かなり深いところ)が切除されていてちょうど底が無くなって(下の組織の支えが無くなって)凹んでいました(写真3)。

写真6,7
写真6,7

さらに、術後約2ヶ月後に来院された時の診察時の写真(お化粧をされています)をお見せいたしますが、閉眼時、開眼時ともに術前と比較すれば状態は、改善されたのがお分かりいただけると思います(写真6,7)

修正手術の方で、“あり得ない手術”をされている場合に遭遇する事もあるので、そういう時は“きちんとトレーニングを受けた先生ならこうはならないのに”と思わされてしまいます。

どんな美容手術でも“100%成功”というのは、患者さんの主観もあるので難しいと思いますが、医師の基本的な技術不足による失敗には、憤りを感じてしまいます。

毎回、ホームページを更新していて私が願うのは“患者さんも、きちんとした情報を持っていただきたい”という事です。

この方のように他院で上手く行かなくて来院される方は、写真掲載を許していただける方が非常に少ない(患者さんの心情を考えれば当たり前のこと)ので、全部をご紹介できませんが、“美容外科での失敗は結構多い”という事と“医者選びは慎重に”ということを少しでも多くの方にご理解していただければ、このホームページの存在意味があるのではないかと思っています。

『美容外科話』著者

  • 山本 豊【山本クリニック院長】

    1992年 東京医科大学卒業。2004年8月 山本クリニック設立。
    美容外科の手術を中心に行っているクリニック。 他院手術トラブル修正手術、海外で受けた修正手術にも対応している。日本アンチエイジング外科・美容再生研究会 元指導医。医療法人社団 豊季会 理事長。資格:医学博士(甲種)、日本外科学会認定医、日本アンチエイジング外科学会 名誉理事、JAASアカデミー最高指導医。

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