美容外科話

COLUMN

二重切開
第108話

切開二重の経過、皮下出血

先日、外来で“先生の手術は、出血しないですね”と言われました。確かに、大きな皮下出血を起こすことは、術中の止血操作を丁寧にしているので、起こすことは少ないのですが、時として“殴られたような”皮下出血を起こしてしまうこともあります。これは、1ヶ月位すると通常の経過とほぼ同じようになるのですが、いくら口で説明してもぴんと来ないと思います。

今回は、モニターの方で、皮下出血がたまたま起きてしまった方が出ましたので、術後の皮下出血の経過についてご紹介したいと思います。この話に写真掲載を許していただいたモニターの方には、この場をお借りして深く感謝いたします。私の美容外科話では、現実的な事を皆様にお知らせすることが、大きな目的の一つですので、このような方の経過を見るのも非常に意味があるのではないでしょうか?
BeforeBefore
AfterAfter

まず術前の状態(写真1,2)と術後1ヶ月の状態(写真3,4)をお見せいたします。術後1ヶ月では、皮下出血も消失し、他の方と同じ経過をとっているのがお分かりいただけると思います。

After
それでは、実際にどのような経過をとって、皮下出血が変化していくのかを御覧に入れたいと思います。最初に術後5日目に抜糸をした時の状態をお見せしますが、激しくぶつけたように皮下出血(俗に言う青たん)が認められるのがお分かりいただけると思います(写真5,6)。
After
この状態では、どのように頑張ってもお化粧で隠すのは、不可能です。
この後(手術後2週間)お会いした時の状態をお見せしますが、まだ皮下出血が目立つものの、範囲が小さくなり、色が薄くなったのがお分かりいただけると思います(写真7,8)。このように手術の経過によっては、ばればれの状態になってしまうこともあります。
いつも患者さんには、なるべく現実的な話をしているのですが、いまだに“2週間で他人に絶対ばれないようになりますよね?”“術後2週間しか余裕がないので、何とかして下さい”等の言葉を言われることがあります。しかし、このように皮下出血を起こすこともありますし、腫れが長引いたりすることもあります。したがって、偶発的に起こるこれらの事を踏まえると、お約束が出来ないということになってしまいます。
After
また、手術デザインについても、“切開法なら自由にデザイン出来ますよね?”“他院では簡単だと言われましたが”等の事を言われることもありますが、元の形を無視してのデザインはあり得ないと私は、考えているので、“私には出来ません”とコメントするようにしています。
いずれにしても、手術は、患者さんにとってそんなに簡単なイベントではないと思いますので、デザインから始まり術後のこうした合併症まで考えた上で手術を受けられることをお勧めいたします。

『美容外科話』著者

  • 山本 豊【山本クリニック院長】

    1992年 東京医科大学卒業。2004年8月 山本クリニック設立。
    美容外科の手術を中心に行っているクリニック。 他院手術トラブル修正手術、海外で受けた修正手術にも対応している。日本アンチエイジング外科・美容再生研究会 元指導医。医療法人社団 豊季会 理事長。資格:医学博士(甲種)、日本外科学会認定医、日本アンチエイジング外科学会 名誉理事、JAASアカデミー最高指導医。