美容外科話

COLUMN

二重切開
第93話

切開法二重の術式

最近、私の外来にいらっしゃる方で、お写真を提供していただける方になかなかお会い出来なかったので、コラムも思うように書けず、また術前の説明用写真も不足していて困っていました。そこで、私のクリニックでもモニターになっていただける方を募集することに致しました。幸いなことに反響も順調で、少しずつコラムも書けるようになりそうです。また、術前の説明にも非常に役立っていますので、この方をはじめモニターになっていただいている方に深く感謝いたします。
BeforeBefore
AfterAfter

さて、今回は二重の切開法のご紹介です。この話は、以前第55話で書きましたが、シワやタルミを取る場合と若干の違いがありますので、その点について触れたいと思います。さらに、以前の時とは術式を変えたので、これについても順を追ってご説明致します。

まず、術前の状態をお示しします(写真1)。この方のご希望は、“あまり派手で無く”ということでしたので、幅もあまり広く取らない末広型の二重をデザインしました。

After
術前デザインをお示ししますが、皮膚の切除幅も1mmとし、切開の傷の長さも第55話の方と比較すると短いのが分かると思います(写真2)。麻酔は局所麻酔を使用し、皮膚を切除、眼輪筋の一部を切除すると写真のようになります。ここまでの過程でいかに出血させないかが、術後の腫れに影響しますので、丁寧に手術するのが重要です(写真3)。これをさらに切開し、挙筋腱膜を露出し、皮下と挙筋腱膜を糸で縫合します。以前はこの作業をしなかったのですが、術後にラインが薄くなる方にお会いしたので術式を変更いたしました。
After
この縫合直後の状態をお見せいたします(写真4)。ここまでを終えたら、患者さんに開眼、閉眼を繰り返していただき、目の開き方をチェックします。このとき一人で確認すると結果にかたよりがでる可能性がありますので、手術室にいるスタッフ全員にチェックしてもらうようにしています(写真5,6)。微調整の必要があればこの段階で修正しますが、その必要性が無い場合は皮膚を縫合して終了です。
After
手術終了時の状態をお見せいたしますが、“あまり腫れていない”のがお分かりいただけると思います(写真7,8)。よく手術のキャッチフレーズに“手術直後でもこれしか腫れません”と書かれているものも目にしますが、腫れるのは家に帰ってからですので、直後に腫れていなくても後から腫れるかもしれないと思っていて下さい。
いつも同じような事を書いていますが、手術というのは魔法ではありませんので、医者も“出来ることに限界がある”ということを十分に認識していただいて、術前計画を立てるようにしていただけたらと願っております。

『美容外科話』著者

  • 山本 豊【山本クリニック院長】

    1992年 東京医科大学卒業。2004年8月 山本クリニック設立。
    美容外科の手術を中心に行っているクリニック。 他院手術トラブル修正手術、海外で受けた修正手術にも対応している。日本アンチエイジング外科・美容再生研究会 元指導医。医療法人社団 豊季会 理事長。資格:医学博士(甲種)、日本外科学会認定医、日本アンチエイジング外科学会 名誉理事、JAASアカデミー最高指導医。