最近、私の外来にいらっしゃる方で、お写真を提供していただける方になかなかお会い出来なかったので、コラムも思うように書けず、また術前の説明用写真も不足していて困っていました。そこで、私のクリニックでもモニターになっていただける方を募集することに致しました。幸いなことに反響も順調で、少しずつコラムも書けるようになりそうです。また、術前の説明にも非常に役立っていますので、この方をはじめモニターになっていただいている方に深く感謝いたします。
さて、今回は二重の切開法のご紹介です。この話は、以前第55話で書きましたが、シワやタルミを取る場合と若干の違いがありますので、その点について触れたいと思います。さらに、以前の時とは術式を変えたので、これについても順を追ってご説明致します。
まず、術前の状態をお示しします(写真1)。この方のご希望は、“あまり派手で無く”ということでしたので、幅もあまり広く取らない末広型の二重をデザインしました。
術前デザインをお示ししますが、皮膚の切除幅も1mmとし、切開の傷の長さも第55話の方と比較すると短いのが分かると思います(写真2)。麻酔は局所麻酔を使用し、皮膚を切除、眼輪筋の一部を切除すると写真のようになります。ここまでの過程でいかに出血させないかが、術後の腫れに影響しますので、丁寧に手術するのが重要です(写真3)。これをさらに切開し、挙筋腱膜を露出し、皮下と挙筋腱膜を糸で縫合します。以前はこの作業をしなかったのですが、術後にラインが薄くなる方にお会いしたので術式を変更いたしました。
この縫合直後の状態をお見せいたします(写真4)。ここまでを終えたら、患者さんに開眼、閉眼を繰り返していただき、目の開き方をチェックします。このとき一人で確認すると結果にかたよりがでる可能性がありますので、手術室にいるスタッフ全員にチェックしてもらうようにしています(写真5,6)。微調整の必要があればこの段階で修正しますが、その必要性が無い場合は皮膚を縫合して終了です。
いつも同じような事を書いていますが、手術というのは魔法ではありませんので、医者も“出来ることに限界がある”ということを十分に認識していただいて、術前計画を立てるようにしていただけたらと願っております。