美容外科話

COLUMN

隆鼻術(シリコン・軟骨・ヒアル)
第99話

鼻シリコンの入れ替え

鼻シリコンの感染等のトラブルについては、何処かの話で書きましたが、他院でシリコンを曲げて入れられた方にお会いしましたので、ご紹介したいと思います。この方はモニターの方ですので、この場をお借りして深く感謝いたします。
BeforeBefore
AfterAfter

まず術前の状態(写真1)と私の修正術後1ヶ月の状態(写真2)をお見せしますが、違いが分かりますか?そうですね。明らかに斜めにシリコンが入っています。

この種の失敗は、1.元の鼻が曲がっていてその癖に挿入時に負けてしまった場合 2.単純に術者の技量不足の場合 にほとんどの場合が分けられると思います。この方の場合、元の鼻が曲がっている上に術者の技量が不足していたという2つの理由が重なったために起こったと推測されます。それでは、順を追ってご説明したいと思います。

After
初診でいらした際に、触診上、シリコンが曲がって入っていること、鼻骨骨膜の上の層にシリコンがあるために固定性がないことが分かりました。したがって修正は、入っているシリコンを抜く、新しいシリコンをきちんと骨膜の下にスペースを作っていれるということになりました。シリコンを抜き取った状態をお見せいたします(写真3,4)。
After
写真では分かりにくいのですが、L字型のシリコン自体が少し短く、脚の部分が浮いてしまい、このためシリコンのトップの部分が鼻尖部に当たっていました。また、これを術中に気がついたのかトップの部分が削ってありました。シリコンの形には術者の好みも出ますが、この方は、鼻の感じを変えずに真っ直ぐにしたいというリクエストでしたので、入っていたシリコンの大きさ形状を真似て、若干長くシリコンをカットし、L字型である必要性もなさそうでしたので、I字型にしました(写真5, 6)。
曲がっていたシリコンの入れ替えでは、前回のシリコンが入っていたスペースに新しいシリコンが同じように曲がって入らないように、術後の固定が非常に大事です。また夜間にはギブスをしていただいて、自分で無意識に触らないようにしていただきます。
鼻のシリコン挿入について術者に要求されるポイントを簡単にまとめてみると、

1.大きさ、形が患者さんの鼻に合ったものを作れるか 
2.片側の鼻の穴の傷できちんと真っ直ぐに挿入できるか 
3.骨膜の下の層にしっかりと挿入できるか 

が技術的な事だと思いますが、術前に患者さんから希望を聞いて、それを形として表現できるという点が非常に重要で、また難しい事だと思います。


いつも色々な話で書いていますが、私は“派手顔”を作るのが苦手で、極端に高い鼻をその人の顔に合わせて作るのが上手くありません。私のクリニックにいらして“外人のように”とご希望されるのは、意味がないと思いますので、このようなご希望の方は他院を選ばれることをお勧めいたします。美容外科は、患者さんのご希望が非常に大事だと思いますので、担当される医師の作れる形を事前に確認することは非常に大事だと思います。ただし、今回の方のように、シリコンを骨膜の下に入れられないというような力量の医師では、論外であることは言うまでもありません。

『美容外科話』著者

  • 山本 豊【山本クリニック院長】

    1992年 東京医科大学卒業。2004年8月 山本クリニック設立。
    美容外科の手術を中心に行っているクリニック。 他院手術トラブル修正手術、海外で受けた修正手術にも対応している。日本アンチエイジング外科・美容再生研究会 元指導医。医療法人社団 豊季会 理事長。資格:医学博士(甲種)、日本外科学会認定医、日本アンチエイジング外科学会 名誉理事、JAASアカデミー最高指導医。