美容外科話

COLUMN

鼻尖形成(軟骨縫縮・移植)
第109話

鼻尖軟骨移植

鼻尖形成で、軟骨をしばったり、軟骨を移植するという話は以前にも書きました。今回は、別の方をご紹介して、“個人差”を認識していただきたいと思います。今回の方もモニターの方ですので、この場をお借りして深く感謝いたします。
BeforeBefore
AfterAfter

まず、術前(写真1, 2, 3)と術後1ヶ月(写真4, 5, 6)の状態を比較していただきたいと思います。若干の変化ですが、なんとなくすっきりした感じが出ているのがお分かりいただけると思います。この“なんとなく”を表現するには鼻尖の場合、少々骨が折れます。

After
この方のご要望も、“人に指摘されないくらいの自然な変化で、鼻先をすっきりさせて欲しい”ということでした。そこで術前計画は、鼻尖軟骨を縫縮し、耳介軟骨を移植し、鼻柱にも軟骨を移植することにより“鼻先を少しほっそりとさせて、若干下を向くようにする”ということにしました。
After
以前の話の中にも書きましたが、今回も手術は両側の鼻腔に切開を加える“クローズ法”を選択いたました。鼻尖を剥離したときの写真をお見せします。ピンセットでつまんでいるのが軟骨です(写真7)。この軟骨を縛っただけで、鼻尖の形をきちんと変えるのは、非常に難しいのですが、反対に言うと、軟骨が大きくてしっかりとしている方は、効果が出易いのです。この方の場合、軟骨の高さ自体が少し足りないので、何かで高さを作らないと満足の行く形には到底及びません。この高さを補うものには自家組織が適していますが、傷のことや手術操作の簡易さから私は好んで耳介軟骨を使っています。具体的にどのような形の軟骨を移植するのかをお見せします。実際に移植する軟骨を鼻先に乗せてあります(写真8)。写真を御覧になると、案外小さい気がするかもしれませんが、日本人の鼻にはこれくらいが平均的な使用量だと思います。また、写真は軟骨2枚重ねてありますが、このように重ねることによって高さをかせぎます。
After
術後の腫れですが、言葉で説明するよりも実際をお見せした方が良いと思いますので、抜糸直後の状態をお見せいたします(写真9,10,11)。

外来で、“耳の傷はどのくらい目立ちますか?”との質問を受けることも多いので、抜糸直後(写真12)の傷の状態をお見せします。患者さんからも“思ったよりも全然目立たない”と言われることが多いので、私も“気になる程度ではないと思います”とご説明するようにしています
どの手術でも同じなのですが、担当医から術前の説明を受けるのは非常に大事です。ただ、この手術の場合、術後の状態をデザインしてお見せするのは非常に難しいので、“任せていただきたい”手術の1つだと思います。反対に言えば、それほど鼻先の形が気になっていない方は、気軽に受けてはいけない手術なのでは、ないでしょうか?

『美容外科話』著者

  • 山本 豊【山本クリニック院長】

    1992年 東京医科大学卒業。2004年8月 山本クリニック設立。
    美容外科の手術を中心に行っているクリニック。 他院手術トラブル修正手術、海外で受けた修正手術にも対応している。日本アンチエイジング外科・美容再生研究会 元指導医。医療法人社団 豊季会 理事長。資格:医学博士(甲種)、日本外科学会認定医、日本アンチエイジング外科学会 名誉理事、JAASアカデミー最高指導医。