美容外科話

COLUMN

目の他院修正手術
第131話

切開二重の傷修正

切開二重の手術で大事なのはデザインであることは患者さんも十分承知しているのですが、術後で時々問題となるのは、“伏し目の傷”です。二重切開の術前術後の写真を見ていると、閉眼時の写真が非常に少ないことに気が付きます。これは従来の切開法の手術では切除する組織量が多いためにこの部分が凹んでしまうことが多いからなのではないのでしょうか。

今回は、この傷修正についてご紹介いたします。このお話に御写真を提供していたモニターの方には、この場をお借りして深く感謝いたします。
傷修正と一口に言っても、体の傷と大きく違うのは“動く場所”だということです。したがって、切り取って再度縫い合わせればよいという単純な作業ではありませんので、今回はこの手技についても若干の御説明を加えさせていただきます。
BeforeBefore
AfterAfter

まず、術前の状態(写真1,2)と術後約3ヶ月の状態(写真3.4)をお見せいたします。術前の開眼状態では、何の問題もないと思われますが、閉眼状態では傷が凹んでしまい目立っています。

After
手術のデザインをお見せしますが、皮膚切除は、傷の部分のみとし、内部処理に注意を払いました(写真5)。

皮膚切開を加えた状態をお見せしますが、通常はここに筋肉等が見えるのですが、白く瞼板が見えていてこの間(皮膚から瞼板まで)の組織が切り取られて無くなっているのが分かります(写真6)。
After
瞼板の上にある組織(ピンセットでつまんでいる組織)(写真7)を引っ張ってきて、無くなってしまった組織の“代用”をさせるのですが、これが案外難しく、なかなか思っていた結果にならないこともあります。こうして作った状態(写真8)をお見せしますが、写真6と比べていただければ、違いは明白だと思います。
外来で診察していると、“傷の凹みだけ治して下さい”という方にお会いしますが、傷だけ治す作業がこのように大変だということを分かっていただきたいと思います。時として、二重の形にまで影響を及ぼすことがありますので、基本的には“切開二重は治せない”と思っていただいた方が良いと思います。

いつも繰り返し書いていますが、このように修正が必要にならないための担当医選びが非常に大事です。私の手術が上手いか否かは別として、このように組織を取りすぎないように気を遣っています。こうした術後の状態(閉眼状態)も含めて担当医から術前説明を受けることを強くお勧めいたします。

『美容外科話』著者

  • 山本 豊【山本クリニック院長】

    1992年 東京医科大学卒業。2004年8月 山本クリニック設立。
    美容外科の手術を中心に行っているクリニック。 他院手術トラブル修正手術、海外で受けた修正手術にも対応している。日本アンチエイジング外科・美容再生研究会 元指導医。医療法人社団 豊季会 理事長。資格:医学博士(甲種)、日本外科学会認定医、日本アンチエイジング外科学会 名誉理事、JAASアカデミー最高指導医。