美容外科話

COLUMN

隆鼻術(シリコン・軟骨・ヒアル)
第140話

鼻プロテーゼ(シリコン)の抜去

鼻シリコンの感染等のトラブルについては、以前に書きましたが、他院でシリコンを入れられた方で抜去したいという方にお会いすることが多くなりましたので、今回はこのことについてご紹介したいと思います。この話にご協力いただいたモニターの方には、この場をお借りして深く感謝いたします。
BeforeBefore
AfterAfter

まず術前の状態(写真1, 2, 3)と術後1週間の状態(写真4, 5, 6)をお見せしますが、違いが分かりますか?鼻の中間から鼻先にかけて若干曲がって見え、鼻筋が細く見えます。
このように見える原因は、後程ご説明いたしますが、手術はご本人の希望により静脈麻酔で行いました。摘出術は、スタンダードなシリコンが挿入されていたために容易で、所要時間は15分程度でした。このように短い時間で摘出可能なことも多いので、基本的には局所麻酔で十分な手術だと思います。

After
摘出シリコンをお見せします(写真7)が、この方の場合は、元の鼻の高さを考えずに、鼻の中間から鼻先にかけてのシリコンが高かった(写真中矢印部分)ことが、曲がって細く見えた原因です。
このように“ご本人に合わない高さのシリコンを挿入されている方”が案外多いのですが、きちんとした高さにするためには、術中のこまめな微調整が不可欠です。シリコンの高さや形が合わない場合には、シリコンの入れ替えか、シリコン抜去が必要となってしまいます。
After
この方は、シリコンを抜いて欲しいとのことでしたので、抜去しましたが、“どちらにしたらいいですか?”と質問されると困ることもあります。というにも、術前の状態がなかなか想像し難い場合もあるからなのです。このような場合は、シリコン挿入前の状態の写真等をお持ちいただければ、より的確なアドバイスが差し上げられると思います。
最近、私のところにいらっしゃる方の抜去理由は、1.シリコンという異物が入っている事が心配で抜きたい 2.鼻先が赤くなる等のトラブルが出現し、抜去をしなくてはいけない 3.形が気に入らない、シリコンが曲がって挿入されている等の外観上の問題があるというものですが、こうしたトラブルにも長期的に対応してくれる医療機関を選ぶ必要があります。また、シリコン挿入については、ご本人の鼻にあった形にシリコンを成型できる術者であるか否かも非常に大事です。

いつも色々な話で書いていますが、美容外科は、患者さんのご希望が非常に大事だと思いますので、担当される医師との事前の打ち合わせは大事にしていただきたいと思います。

『美容外科話』著者

  • 山本 豊【山本クリニック院長】

    1992年 東京医科大学卒業。2004年8月 山本クリニック設立。
    美容外科の手術を中心に行っているクリニック。 他院手術トラブル修正手術、海外で受けた修正手術にも対応している。日本アンチエイジング外科・美容再生研究会 元指導医。医療法人社団 豊季会 理事長。資格:医学博士(甲種)、日本外科学会認定医、日本アンチエイジング外科学会 名誉理事、JAASアカデミー最高指導医。