鼻の手術でも他院修正は、難しく治療に苦労することはよくあります。
中でも『鼻が曲がってしまったのを治してほしい』というご相談は、よく受ける上に難易度も高いものです。
今回は、このようなニーズに応えるべく鼻先の曲がりを軟骨移植、鼻尖軟骨縫縮にて治療した方をご紹介したいと思います。このお話にご協力いただいたモニターの方には、この場をお借りして深く感謝いたします。
まず、術前の状態と術後2週間の状態を比較していただきたいと思います。
術前の左右の小鼻をご覧いただくとお分かりになると思いますが、左側が下がり、右側が上がり、ちょうど鼻尖を中心に時計回りに鼻をひねったような感じになっているのがお分かりいただけると思います。
下から見上げると鼻柱が若干湾曲し、鼻先が右側に微妙にずれているのがお分かりいただけると思います。
この方は他院でシリコンを矯正する目的で挿入したところ、悪化したために、シリコンを抜去したのですが、湾曲だけが残存したそうです。
このような方の場合は、鼻の高さはあるので、鼻尖軟骨縫縮によって、鼻先の形を整えてすっきりと見せ、鼻尖の位置を若干下向きにすると同時に、鼻柱を補強することにより鼻をまっすぐにするという治療を行います。
言葉にするとあっさりしていますが、術後に鼻の形に前回手術の形の癖が残ることがありますので、神経質な術中操作が要求されます。
どこかの話にも書きましたが、鼻先の形には、私は耳の軟骨を好んで使います。
耳の軟骨を小さく2枚に分け、これを部分的に重ね合わせて高低差を作り出します。
軟骨移植をした範囲のデザインをご覧に入れますが、補強を目的としたデザインである事がお分かりいただけると思います。
手術は、局所麻酔で、両側の鼻の穴の中から行いますので、傷自体が問題となることはありません。
まず、鼻尖の軟骨処理から行いますが、鼻尖軟骨自体を剥離する操作が癒着のために難しく、その次段階の軟骨を折り曲げも前回の手術操作の影響を受けますので、難しくなっています。
こうした中で、軟骨の形を慎重に作ります。この関門を通過した後に、成形した軟骨を土台として先にデザインした軟骨を移植します。
この際も軟骨がずれてしまうと大変なことになりますので、ずれない固定に『プロのこだわり』が大事になります。
手術が終わってしまうと、腫れも軽度ですので、患者さんからは『思ったよりも全然大丈夫でした』とのコメントをいただくことがほとんどです。
術後5日後抜糸時の状態をお見せしますが、腫れも少なく案外楽勝!という感じだと思います。
いつも同じことを書きますが、こうした事態にならないように担当医を慎重に選んでいただきたいと思います。