美容外科話

COLUMN

鼻尖形成(軟骨縫縮・移植)
第157話

鼻尖軟骨縫縮術の工夫

外来で“縛るだけでは3カ月で元に戻ると聞きました”“縛るだけでは効果が出ないと言われたのですが”等のコメントを患者さんより受けることも多いので、今回は、“当院の術式で元に戻る事は、ほぼない”という事と“縛るだけでも効果が出せる”ということについてご説明します。

以前にお二人の方をコラムでご紹介した際に、術中の過程についてはご説明しましたので、今回は“効果を出すために軟骨に工夫を凝らしている”ことについてご紹介いたします。

私の手術での工夫は、“縛り合わせる前に軟骨自体の形を変える”ということです。
Before

術前(写真1・2・3・4)

After

術後1か月(写真5・6・7・8)

術後は形が整って、すっきりしたように見えます。

After

術中の写真(写真9)

ここで術中の写真(写真9)をお見せしますが、右側(透明な糸が出ている側)の軟骨だけを処理してあるので、鼻の穴が縦長になっているのがお分かりいただけるとお思います。
このように軟骨自体の形を変えることによって、鼻の形が下から見上げた時に縦長になり、鼻先が細くすることが可能です。
また軟骨の間にある軟部組織を切除しますので、軟骨どうしの間が狭くなり、術後の固定性が非常に強くなります。このため、当院では“術後、日中のギブス固定を必要としない”と考えています。夜間は保護の意味合いでギブスを使うようにお渡ししています。
After
“元に戻ってしまう要因”として考えられるのは、1.軟骨周囲の剥離が不十分で、軟骨がきちんと移動していない 2.左右の軟骨の間にある軟部組織を切除せずに結び合わせたために戻る力が強い 3.剥がした軟骨自体が無理に曲げられたため、ばねのように元に戻ろうとするということが挙げられます。
私は、こうした要因を排除するように手術をしているので、“元に戻る可能性は、極めて低いですよ”とご説明するようにしています。

この手術方法は、私のオリジナルというよりも“アメリカの先生のやり方を私が日本人向けにアレンジしたもの”で、アメリカで黒人の患者さん相手にある先生がやっていた手術からヒントを得ました。こ申し上げているように、くれぐれも術前に実際に手術をされる先生から効果等についてよく説明を受けられることをお勧めいたします。


まず、このお話にご協力いただいたモニターの方々には、この場をお借りして深く感謝いたします。

『美容外科話』著者

  • 山本 豊【山本クリニック院長】

    1992年 東京医科大学卒業。2004年8月 山本クリニック設立。
    美容外科の手術を中心に行っているクリニック。 他院手術トラブル修正手術、海外で受けた修正手術にも対応している。日本アンチエイジング外科・美容再生研究会 元指導医。医療法人社団 豊季会 理事長。資格:医学博士(甲種)、日本外科学会認定医、日本アンチエイジング外科学会 名誉理事、JAASアカデミー最高指導医。