美容外科話

COLUMN

目の複合手術(2つ以上の手術)
第171話

二重と脱脂の関係?!

はじめに、このお話にご協力いただいたモニターの方にはこの場をお借りして深く感謝いたします。

この方は、他院で埋没法重瞼術を受けられた方で、二重のラインが残存しているものの、二重の線が全体的に薄くなってしまっています。
さらに、目全体の開きが若干弱く『目ヂカラが弱い』感じだと思います。(写真1)。
BeforeBefore
AfterAfter

術後1カ月(写真2)の状態と比較していただくと、目の開きが良くなったように見えると思います。この方の術前計画としては、二重の開きが良くなるように、皮膚切除と脱脂という計画を立てました。一般的には、目ヂカラアップには、眼瞼下垂手術で使う『挙筋短縮術』というものを併用しますが、閉開眼を繰り返していただくと、挙筋の動きは非常に良いと判断されたために、このような術式を選択することにいたしました。

After
術前の皮膚切除の範囲をお見せいたします(写真3)。目頭切開も同時に受けられていますので、目頭のデザインもありますが、『二重にするための皮膚の切除範囲が大きい』と認識していただければ充分です。
After
次にご説明したいのが、『脱脂範囲』です(写真4)。

通常、脱脂をする際は、目尻側を中心に行いますが、この方の場合は目を開きやすくする目的ですので、目頭から目尻にかけて均等に脱脂することといたしました。それは、『脱脂しても、目がすっきりとはあまりしないし、適度な脱脂であれば上まぶたがくぼむことは少ない』と私が考えており、『目が開く時に邪魔する脂肪』を切除するのが、脱脂の役割だと思います。
After
この方の術後5日目抜糸時の状態をお見せしますが、脱脂し、埋没糸を摘出した事で平均的な方よりも腫れが強く、皮下出血も広がっています(写真5)。
どこかの話でも書きましたが、担当する医師によって手術計画が異なる可能があります。また、我々医師側も、どの手術が『正解』なのか、迷う場合もあります。
術前に担当医と相談する事が何よりも大事であるということは、変わりませんので、術前診察を大事にしていただきたいと思います。

『美容外科話』著者

  • 山本 豊【山本クリニック院長】

    1992年 東京医科大学卒業。2004年8月 山本クリニック設立。
    美容外科の手術を中心に行っているクリニック。 他院手術トラブル修正手術、海外で受けた修正手術にも対応している。日本アンチエイジング外科・美容再生研究会 元指導医。医療法人社団 豊季会 理事長。資格:医学博士(甲種)、日本外科学会認定医、日本アンチエイジング外科学会 名誉理事、JAASアカデミー最高指導医。