美容外科話

COLUMN

刺青切除・刺青除去レーザー
第168話

大きな刺青を切除する!植皮と分割切除のコンビネーションセラピー

今刺青切除ご希望の方から、『私の場合は、何回で取れますか?』というご質問だけでなく、『他院で切除は無理だと言われましたが切れますか?』というご質問を受けることがよくあります。刺青切除で患者さんにとって非常に重要な事は、『消せるのか』ということと、『どれくらいの時間と金額がかかるのか』という事だと思います。
今回は、左上腕の刺青に植皮、分割切除で治療した方と対照的に1回で切除可能だった方を御紹介して、上記のようなご質問に答えたいと思います。このコラムにご協力いただいたモニターの方々には、この場をお借りして、深く感謝の意を表します。
まず、大きな刺青の方ですが、初診時の状態を見ていただくとお分かりいただけると思いますが、
縦横ともにサイズが大きく、切除のみでは治療するのが不可能です。この方の問題は、横方向の蓮の花の部分が分割切除では、残ってしまうことです。このような場合、『他院では植皮と言われました』と患者さんからコメントをもらうことが多いのですが、切除して捨ててしまう皮膚の中に正常皮膚が含まれていますので、私は、この正常皮膚を捨てずに植皮と切除を同時に行っています。
このような方にお会いした場合に、治療方針としては、1.全部切除し、一気に植皮する 2.分割切除をして行き、切除出来ない部分を最後に植皮する 3.レーザーを照射してみる 4.植皮と切除を同時に行っていくというバリエーションが考えられると思います。いずれの治療がその方に最適かは、患者さんの社会的な環境による部分もありますので、一概には言えませんが、私は『切除してしまう皮膚を捨てずに有効活用する』4.の治療法が個人的には好きです。この方の1回目の切除、植皮が終了した状態をお見せしますが、左端(画面上は左端)の蓮の花の部分に植皮を行いました。
さらに2回目切除、植皮が終了した状態ですが、右端の蓮の花の部分に植皮が行われているのがお分かりいただけると思います。
ここまでくれば、後は切除のみで治療出来ますので、これに切除手術をさらに2回施行しました。完全切除完了状態をお見せしますが、これで刺青がなくなったのがお分かりいただけると思います。
BeforeBefore
After
After
この手術の利点は植皮する面積が小さい(植皮の手術代金が少ない)くてすみ、ドナーの場所(植皮する皮膚を採る場所)が植える場所に近いため、植皮した皮膚の質感が良いことだと思います。

一般的に女性は皮膚が伸びやすいので、男性より大きな柄まで切除可能なのですが、この大きさですと、男女にかかわらず、分割切除のみでは難しいと思います。
参考までに1回で切除した女性をご紹介しますが、先程の方と比べると横方向の大きさが小さいのがお分かりいただけると思います
刺青の大きさがどこまで切除出来るのかは、このように個人差、治療方法にもよりますし、担当する医師の技量によるところもありますので、術前によく検討されることをお勧めいたします。

『美容外科話』著者

  • 山本 豊【山本クリニック院長】

    1992年 東京医科大学卒業。2004年8月 山本クリニック設立。
    美容外科の手術を中心に行っているクリニック。 他院手術トラブル修正手術、海外で受けた修正手術にも対応している。日本アンチエイジング外科・美容再生研究会 元指導医。医療法人社団 豊季会 理事長。資格:医学博士(甲種)、日本外科学会認定医、日本アンチエイジング外科学会 名誉理事、JAASアカデミー最高指導医。