美容外科話

COLUMN

二重切開
第101話

切開法二重と脱脂

最近、モニターの方々のご協力より載せられる話が書けていることに深く感謝いたします。女性のみならず、男性の応募があるのは嬉しいことです。また、術式によっては応募多数のためモニター募集の制限をさせて頂いている事について、この場をお借りしてお詫びいたします。

今回は、切開二重の際に脱脂を受けられた男性の方のご紹介をしたいと思います。切開二重の手術については、既に書きましたが、外来で、一部の患者さんから“両目でとても分りやすかった”とのコメントもいただいたので、今回も両目を出して、左右差も含め具体的な経過をご理解いただければ幸いです。また、手術後の閉眼時の写真は、これから手術を受けられる方々にとって興味のあるところだと思いますので、一緒にご紹介させていただきます。この写真を御提供していただいたモニターの方には、この場をお借りして深く感謝いたします。
BeforeBefore
AfterAfter

まず、術前の状態です。この方は、他院で既に目頭切開と埋没法の二重の手術を受けられているので、既に二重ですが、ラインを取れにくくして、若干すっきりした感じにしたいというのが、ご希望でした。まず術前(写真1, 2)と術後1ヶ月と1週間経過した時(写真3, 4)の状態を比べていただきたいと思います。今回は、術式よりも“脱脂をした効果と腫れ”ということについてお書きしようかと思います。

After
よく“脂肪を抜いて、すっきりとした目に”とか“瞼の厚い方も脱脂をすればすっきりとした二重に”等の文句を目にしますが、はたしてそうなのでしょうか?私個人の意見としては、“NO?”です。実際の状態をお見せしてご説明したいと思います。ピンセットでつまみあげている黄色いものが、脂肪です(写真5)。この持ち上げている部分をすべて切除いたしました。これは上眼窩脂肪と呼ばれているもので、一番深い場所にあるのですが、人によっては眼輪筋の下にある脂肪もさらに切除します。これらの脂肪だけが多い方は、すっきりとするのですが、皮膚自体の脂肪(皮下脂肪)は切除しにくいので、皮下脂肪が厚いとどうしても“すっきり感”が出せないと思います。ですから、“人によっては、脱脂の効果が、あまり出ない”ということになります。上述した“?”の意味はそういうことなのです。美容外科の話をしていると、常にそうなのですが、“個人差が非常にある”ということなのです。
この方の抜糸時の写真をお見せしますが、脱脂をしない方に比べて腫れがひどいのがお分かりいただけると思います(写真6, 7)。このように深い部分まで触ると腫れがひどくなります。また、術後2週間の状態(写真8, 9)からもお分かりいただけると思いますが、腫れの引き方にも時間がかかります。1ヶ月を経過しても左右差が依然としてあり(写真10, 11)、左右が揃うのにはさらに1週間が必要でした。
After
よく外来で、“どれくらいの期間腫れますか?”という質問をされる方にお会いしますが、術式によっても違いますし、個人差がありますので、この点についてはご理解いただく必要があります。傷の経過についても同様で、この方は依然として赤みが残っていますが、今後少しずつ色が落ちて行きます。今回の話で、脱脂の効果と腫れの引き方ついて、少しでもイメージをつかんでいただければ幸いです。

『美容外科話』著者

  • 山本 豊【山本クリニック院長】

    1992年 東京医科大学卒業。2004年8月 山本クリニック設立。
    美容外科の手術を中心に行っているクリニック。 他院手術トラブル修正手術、海外で受けた修正手術にも対応している。日本アンチエイジング外科・美容再生研究会 元指導医。医療法人社団 豊季会 理事長。資格:医学博士(甲種)、日本外科学会認定医、日本アンチエイジング外科学会 名誉理事、JAASアカデミー最高指導医。