まず、このお話にご協力いただいたモニターの方に深く感謝いたします。
私のブログやコラムで、口唇の手術について書いている事が非常に少ないことに最近気が付きました。
目や鼻に比べるとモニターをご希望される方も少ないので、頻度が非常に低いのだと思います。
このような状況ですので、今回のお話をかけることは、私にとっても非常に貴重だと思います。
このお話でも、他の手術のように、この手術の切除デザイン、手術効果、手術後の経過についてご紹介したいと思います。
まず、術前(写真1, 2)と術後1か月(写真3, 4)の状態を比較していただきたいと思います。
口というのは動く部分ですので、口が閉まらなくなったり、開けられなくなってしまうというような状況には絶対にならないように気を遣いながら手術をする必要があります。
一般の方からは、当たり前だと思われるかもしれませんが、他院手術にて、唇を切られすぎてしまい口が閉まらないという状況になっている方にお会いすることもあります。
この方の動いている状態をご覧いただくと、機能的(開口閉口機能)には問題が起こっていないことが、お分かりいただけると思います。
また、口を閉じた状態で比較して頂くと、下口唇が薄くなったのがお分かりいただけると思います。
このように比べて頂くと、あまり大きな変化に感じられない方もいらっしゃるのでは、ないでしょうか?
しかし、手術切除デザイン(写真5)をご覧いただくと、『案外多く切除している』という印象を受けられるのではないでしょうか?
実は、この手術の難しさの一つは、この『デザイン』にあります。切りすぎると口が閉まらなくなってしまいますし、切り足りないと効果が出ないという非常に『境界線的な部分を攻める』必要性があるからです。
もちろん、デザインのみで手術は、完了しませんので、実際の手技においても注意点があります。それは『口輪筋に傷をつけない』ということです。
口輪筋を切除したり、傷をつけてしまうと機能的な問題が生じてしまう可能性があるからです。
この口輪筋を傷つけずに、一定の厚さで均等に組織を切除するということに『職人芸』が要求されます。
組織の切除が終了したら、縫合処置に移ります。私は、この手術の縫合には、吸収性の糸を使いますが、どのような糸を使うかは、担当医の経験や考え方による部分があると思います。
では、術後の腫れ方をご紹介したいと思います。
術後1週間、抜糸時の状態(写真6, 7, 8)です。大きな腫れもなく、大きく口を開けても問題なく良好な経過ですが、この方は『一般的な経過よりも良い方』ですので、ご自分が手術を受けられる場合は、この方よりも腫れるというイメージを持っていただいた方が良いと思います。
関連動画はこちら
※出血シーンがございますので閲覧にご注意ください。
https://www.youtube.com/watch?v=4-vKYA_5ayA
いつも同じ事を書きますが、デザインや各工程での処置が違いますので、『同じ名前の手術であっても、担当医によって別物になってしまう』ということもよく起こります。
医者によっては『切って縫うだけの手術だから、簡単ですよ』と患者さんに説明する方もいるようですが、個人的には、『単純なものほど奥が深い』と思っています。
いずれにしても、どの様な手術を行うのか、術前に担当される医師と十分な打ち合わせをすることをお勧めします。
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