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美容整形解説コラム

急増中の直美(ちょくび)の問題点とは?見極め方も解説

近年、美容医療の現場で「直美(ちょくび)」と呼ばれる若手医師が急増しています。医師免許を取得後、十分な臨床経験を積む前に美容外科に進んだ医師を指しますが、「直美はやばい」といった声も広がっています。

この記事では、現役美容外科医の視点から、直美の実態とリスク、信頼できる医師の見極め方を詳しく解説します。

美容医療界で話題の「直美(ちょくび)」とは?

ここ数年、美容医療の現場で「直美(ちょくび)」という言葉を耳にする機会が増えています。直美とは、「医師免許を取得したあと、2年間の初期臨床研修を終え、そのまま美容外科に進んだ医師」を指します。これまでは、医師は初期臨床研修後に「専門研修(後期研修)」を経て、形成外科や皮膚科、外科などで専門的なスキルを磨いていくのが一般的でした。しかし直美は、その過程を経ずに美容外科の現場に立つことになります。

美容医療は、見た目の改善を目的とする自由診療であり、手術の技術力やリスク管理能力が極めて重要です。にもかかわらず、直美と呼ばれる医師は臨床現場での実践経験が少なく、トラブルや合併症の際に適切な対応ができないケースも報告されています。そのため、患者としては「直美の医師かどうか」を見極めることが、リスクを軽減する第一歩と言えるでしょう。

直美(ちょくび)が増えている理由とは

では、なぜ直美が急増しているのでしょうか。その背景には、美容医療という業界特有の「収入構造」があります。保険診療では診療報酬が国により決められていますが、美容医療は自由診療のため、クリニックが価格を自由に設定できます。その結果、保険診療に従事する医師に比べて、美容外科医の年収は数倍になることも珍しくありません

厚生労働省の統計によれば、保険診療を行う勤務医の平均年収は約1,200万円前後。一方、美容外科業界では、インセンティブ制度や高額施術の存在により、年収2,000万円〜3,000万円を超えるケースもあります。この差が、若手医師を直接美容業界へと引き寄せる大きな要因となっています。

美容外科で働く医師数の遷移

実際、厚生労働省が二年に一回発表している医師・歯科医師・薬剤師統計によると、美容外科で働く医師はこの10年で約2.8倍に増加しており、若手医師が、従来のステップを省いて美容医療へ転向する流れは顕著です。「そっちのほうが稼げるから」といった声もあるように、過酷な勤務環境にある保険診療よりも、働きやすく、高収入を実現できる美容外科を選ぶ医師が増えているのです

▽参考データ|厚生労働省-医師・歯科医師・薬剤師統計(旧:医師・歯科医師・薬剤師調査):結果の概要
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/33-20c.html

しかし、こうした「直美」の増加には見過ごせない問題点もあります。

直美(ちょくび)の医師の問題点

美容医療の需要拡大や人材の増加は歓迎すべきことですが、直美の医師による施術には安全面でのリスクがつきまといます。経験が浅いまま患者を担当することで、万が一の際に適切な医療措置が取れず、重大な結果を招く可能性があるのです。ここでは、直美の医師に共通する2つの問題点を詳しく見ていきましょう。

問題点1:直美(ちょくび)の医師は経験が浅い

医師になるまでの過程

医師は通常、2年間の初期臨床研修を終えた後、専門分野の研修(後期研修)に進みます。形成外科や麻酔科、外科といった領域で、数年間にわたり手術経験や緊急対応を積み重ねていくことが、安全な医療提供の基盤となります。

しかし、直美の医師はこの「後期研修」を経ず、研修終了後すぐに美容外科の現場に立ちます。外科的手技の経験も少なく、術中・術後のトラブル対応力が十分ではないケースが多いのです。

実際、脂肪吸引や豊胸などの美容外科手術は、合併症のリスクを伴います。過去には、脂肪吸引後の内出血が原因で窒息死に至った例もあり、報道によれば「適切な医療措置があれば助かった可能性が高い」と指摘されています。このような事故は、美容整形という言葉がもつ華やかさとは裏腹に、医療行為としての危険性を如実に示しています。

また、形成外科や麻酔科、外科等の基礎知識が乏しい直美の医師は、合併症や感染症のリスク評価、術後管理にも不安が残ります。美容医療は命に関わることは少ないという誤解がありますが、実際には呼吸管理や止血対応など「医療の基本力」が問われる場面が多く存在します。そのため、経験の浅い直美に施術を任せることは、結果としてリスクの高い選択になりかねないのです。

問題点2:利益重視の施術になる

もう一つの問題は、「利益を最優先する構造」が挙げられます。美容医療は自由診療であるため、クリニックごとに価格設定が可能です。医師や経営者は売上に応じて報酬を得られるケースが多く、その結果、患者にとって最適ではない、あるいは不要な施術を勧める場面が生まれやすくなります

国民生活センターの報告によれば、美容整形に関するトラブル相談は近年増加傾向にあり、「カウンセリングで高額プランを契約させられた」「術後のフォローがなかった」「広告で謳っていた効果と実際の効果が違った」といった内容が多くを占めます。なかには、「モニター価格」で勧誘し、施術前後で追加料金を請求されたり、効果の乏しい施術を繰り返し勧められたりする事例も報告されています。

直美(ちょくび)ではない医師の見極め方

では、信頼できる医師をどのように見極めればよいのでしょうか。まず確認すべきは、医師の経歴です。クリニックのホームページなどに掲載されているプロフィールをチェックし、「これまでの勤務歴」や「所属学会」「専門医資格」などを確認しましょう

また、「モニター価格を大きく打ち出しているクリニック」にも注意が必要です。モニター価格は新規開業したてのクリニックや経験の浅い医師が症例を集めるために設定することが多く、実績を積む段階にある場合もあります。安さだけで判断せず、施術者の経験をしっかり見極めることが大切です

さらに、SNSなどで目立つ「キラキラドクター(キラキラ系医師)」と呼ばれる存在は、医療技術よりも自身の見た目や生活スタイルを前面に打ち出して人気を集めるケースが多いです。「見た目の華やかさ」と「医療としての信頼性」が混同される現象が起きており、これも直美が“やばい”とされる理由の一つです。

彼らはフォロワーを増やすことで集客につなげていますが、SNSで人気のある医師や、自身の容姿や生活ぶりをアピールする医師が、必ずしも技術力が高いとは限りません

た目や人気ではなく、確かな医療スキルに基づく判断を行いましょう

まとめ

直美(ちょくび)とは、医師免許を取得して間もない若手医師が、美容医療業界に早期参入する現象を指します。その背景には高収入や自由度の高さがありますが、一方で経験不足や、患者の安全や幸福よりも利益を優先しているといった問題点が浮き彫りになっています

美容医療は命に関わらない“軽い医療”ではなく、外科的リスクを伴う医療行為です。施術を検討する際は、担当医の経歴や専門分野、学会所属などを慎重に確認しましょう

「価格」や「人気」ではなく、「医師としての確かな経験と技術、誠実さ」を基準に選ぶことが、トラブルを防ぐもっとも有効な方法です。