美容外科話

COLUMN

眼瞼下垂
第167話

眼瞼下垂手術の術後経過

眼瞼下垂には、挙筋自体に問題があり、目が開かない場合と、目は開いているのですが、皮膚のたるみ等が視野の妨げになっている場合があります。
一般的な頻度としては、後者が圧倒的に多く、時として“美容外科”の手術と患者さん自身も認識しているようです。
この方の術前の状態(写真1, 2)をご覧いただくと分かりますが、外側(目尻側)の皮膚を中心に垂れ下がり、外側や上が見にくい状況となっています。
BeforeBefore

術前の状態(写真1, 2)

AfterAfter

術後6カ月の状態(写真3, 4)

術後6カ月の状態(写真3, 4)と比べていただくと、その変化がはっきりと分かると思います。
このような状態の方は、車を運転にしていると横が見えにくい、歩いていて横から他人にぶつかる、階段の上から下りてくる他人に気が付かないなどの日常生活に支障をきたしていることがあります。
この状態の元凶は皮膚の弛みですので、手術は皮膚切除を中心とした処置になります。ただし、皮膚のみを切除するわけにはいきませんので、眼輪筋、脂肪等の皮下の部分の処理が必要となります。皮膚の弛みは、閉眼時では分かりにくく、術前(写真2)の状態でも皮膚が大きくたるんでいるようには見えません。

術前に切除範囲をご本人にお見せすると、“こんなに切るのですか?”と驚かれることがよくあります。皮膚の切除量、デザインに関しては担当医によって大きく変わる部分ですので、術前の説明を受けることが非常に大事です。
術後の腫れの引き方については、二重等のご説明の際に何回かご紹介しているのですが、この手術では、年齢的な問題や皮膚の切除範囲の違いがあり、術後の経過も二重よりも“長引く”傾向にあります。
切開重瞼術後の1カ月の状態では、ほぼ落ち着いていますが、眼瞼下垂の場合は、写真(写真5, 6)でも

After

写真(写真5, 6)

お分かりいただけるように、上瞼に“腫れぼったい感じ”が残っています。
術後3カ月の状態(写真7, 8)でも、まだ腫れが残っています。
After

術後3カ月の状態(写真7, 8)

こうした経過は、時間とともに改善し、先にご紹介したように術後6カ月すると、すっきりとした感じになります。この手術の目的は、“視野を良くすること”ですので、手術を受けられた方とお話をすると、“術直後から見えやすくなりました。有難うございます。”と感謝されることも多く、腫れの期間が問題となる事は少ないのですが、経過を知らずに手術を受けますと非常に不安だと思いますので、今回は術後経過をご紹介いたしました。いつも同じことを書いていますが、こうした経過も含め、術前に担当医からよくご説明を受けることをお勧めいたします。


今回は、眼瞼下垂の術後経過についてご紹介したいと思います。このお話にご協力いただいたボランティアの方にはこの場をお借りして深く感謝いたしたいと思います。

『美容外科話』著者

  • 山本 豊【山本クリニック院長】

    1992年 東京医科大学卒業。2004年8月 山本クリニック設立。
    美容外科の手術を中心に行っているクリニック。 他院手術トラブル修正手術、海外で受けた修正手術にも対応している。日本アンチエイジング外科・美容再生研究会 元指導医。医療法人社団 豊季会 理事長。資格:医学博士(甲種)、日本外科学会認定医、日本アンチエイジング外科学会 名誉理事、JAASアカデミー最高指導医。