最近、私のポリシーを誤解されている患者さんにお会いするのですが、“患者さんは客(カスタマー)ではない”というのが私の考えです。
つまり“自分の後悔がない治療を好きな先生にしていただく”という考えですので、お客のように、“その気にさせて、なるべく買ってもらう”というような態度は全くとっていないつもりです。
ですから、時として“他院を勧める”ことや、“私が手術をするのをお断りする”ことがあるのはその為です。また、このホームページのルーツも色々な患者さんに本当の事を知ってもらうのが目的ですので、この方向に進んでいるつもりです。
したがって、“キャンペーン”なるものは当院では一切やりませんし、スタッフにも医学的な質問の答えを電話でさせないようにしています。
またくどい前置きをしてしまいましたが、今回は切開法について説明しようかと思います。実は、術式の詳細をネットに載せるのはどうかとも思っていたのですが、埋没法や、ワキガの手術の写真について、一部の患者さんから“分りやすかった”とのコメントもいただいたので、今回も具体的な事を書いてみようかと思います。
切開法の二重と目の上のシワ取りは共通する手技も多く、途中で違いの説明を加えれば分かり易いと思いますので、まとめて説明してしまいます。
まず、術前にどのようなラインを作るかをよく相談して座位にてデザインを決めます。この方はシワもとるので切り取る皮膚のデザインが書いてあります。
また、麻酔は皮膚に直接刺す局所麻酔で行います。(写真1)アメリカの先生方は静脈麻酔を併用していましたが、患者さんが寝てしまうと、途中で目を開けてもらえなくなり、目の微妙な感じを調節出来なくなるので、私は局所麻酔を好んで使用しています。
でも、実際はあまり痛くないようなので、現実的にも必要ないのではないかと個人的には思っています。
皮膚を切除(両者の相違点は、ここだけで、二重の場合はあまり切りません)すると、眼輪筋という筋肉があります。
この筋肉を二重の折曲がりの邪魔にならないように若干切除(術者の経験による目分量)します。(写真2)
次に黄色いものが見えていると思いますが、これが目の上の脂肪です。
よく二重の時に厚ぼったいので脂肪も抜いたと言われるのがこれです。(写真3)この脂肪をよけると、その下に瞼板があります。
この瞼板を見つけたら、あとは皮膚縫合しながら、瞼板(実際には瞼板より微妙に浅い組織)に糸をかけて行きます。
この際に、埋め込み式の糸を使う先生と使わない先生がいますが、私は使っていません。
皮膚縫合を終了した時点での閉眼時の様子ですが、二重切開の場合はもう少し傷が短くなることが多いと思います。(写真5)
術直後に目を開けていただいた時の写真ですが、埋没法よりも手術直後から腫れるのが分かっていただけると思います。(写真6)
以上が簡単な説明ですが、何となく分かっていただけたでしょうか?
切開法は埋没法と違って、“失敗が許されない”手術ですし、術者の“腕”が出る難易度の少し高い手術ですので、どのような医療機関で受けるかを十分に検討されることをお勧めします。
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