美容外科話

COLUMN

第103話

人中短縮術

人中短縮術は、術式としてはマイナーで受ける方も少ないためか、あまり説明されているものを目にしません。ただ、そのためか、当院では時々質問を受ける手術ですので、この術式の流れを全体的ご紹介したいと思います。この写真はモニターの方にご協力いただきましたので、この場をお借りして深く感謝いたします。
BeforeBefore
AfterAfter

例によって、これは私の手術ですが、比較的施設によっての違いが無いものだと思います。
まず、術前(写真1)と術後2週間(写真2)の状態を比較していただきたいと思います。若干の変化ですが、なんとなくすっきりした感じが出ているのがお分かりいただけると思います。この手術で、どこをどのようにしたかが一番大事だと思いますので、デザインをお見せいたします(写真3)。黒いペンで囲んだ部分が切除する範囲です。切除範囲は、このように小さいので、大きな効果は望めないのですが、この術式の効果は、顔がなんとなくしまって見える、上口唇が若干上に引っ張られる為に若く見えるということだと思います。

After
外来の診察で、“唇がひっくり返って不自然になりませんか?”等の質問も受けますが、切る範囲が小さいので、反対にそのような心配もしなくて良いということになります。術直後の状態をお見せいたしますが、このように細かく丁寧に縫い合わせます(写真4)。
抜糸は、術後5日目に行いますがこの時点では傷の赤みが目立ちます(写真5)。術直後よりも赤みが出現する分、目立つような感じにもなります。この後に次第に傷は落ち着きますが、赤みは、わりと持続することがありますので、ある程度の覚悟(すっぴんで、他人にばれる)が必要です。
私は、術後は腫れませんなどと説明していましたが、この方に“上口唇まで腫れました”と言われてしまったので、腫れる期間は短いですよと説明語を変えました。ご自分で、鼻の下が長くて間が抜けた感じがすると思うような方には適応があると思いますが、先に述べたように5mmという非常に小さい変化ですので、この手術の存在価値はよく検討される必要があると思います。

『美容外科話』著者

  • 山本 豊【山本クリニック院長】

    1992年 東京医科大学卒業。2004年8月 山本クリニック設立。
    美容外科の手術を中心に行っているクリニック。 他院手術トラブル修正手術、海外で受けた修正手術にも対応している。日本アンチエイジング外科・美容再生研究会 元指導医。医療法人社団 豊季会 理事長。資格:医学博士(甲種)、日本外科学会認定医、日本アンチエイジング外科学会 名誉理事、JAASアカデミー最高指導医。