まず、このお話にご協力いただいたモニターの方に深く感謝いたします。
また、TBS Nスタの取材にもご協力いただきましたので、重ねて感謝いたします。
この方は、テレビで御紹介された際には、映像の問題上、傷の状態がはっきりと出ませんでしたので、このコラムでご覧いただきたいと思います。
さっそく術前の状態(写真1)をお見せしたいと思います。
下の写真(画像1)の中の矢印で示した2か所は『不良肉芽(ふりょうにくげ)』といって、皮膚が欠損した状態になっています。
一般的には保存的に軟膏等の処置をしていると軽快することもあるのですが、この方の場合は、手術後すでに数か月が経っていますので、このまま保存的に治療しても改善が見込める確率は非常に低いと思います。
このような場合は、この不良部分を取り除いてしまうことに専念します。というのも、傷からじくじくした汁が絶えず出て、日常生活上、大きなストレスになってしまうからです。
当院にいらした時点で、切除手術を2回受けられていますので、なるべく切除する皮膚の量を少なく、かつ傷口にかかるストレスが小さくなるように工夫します。
手術時の切除デザイン(写真2)をご覧にいれたいと思います。
ジグザグに切除することにより皮膚と皮膚の接触面積を増やし強度を強めつつ、切除範囲は最小限にすることが可能です。
背中のタトゥー(刺青)の場合、皮膚の伸びが良くありませんので、『分割切除』を選択することが多いので、似たような部位での一般的な経過の方をご紹介したいと思います。
術前のの状態です。
上下の幅がありますので2回に分けて切除します。
1回目の手術が終了した状態をお見せします。
この残った部分まで頑張って切除しようと無理をすると先にご紹介した方のようになる可能性があります。
分割切除の場合、2回目の手術までの間隔は個人差がありますが3か月から6か月というのが一般的です。
2回目の手術が終了した状態(写真6)をお見せします。
残っていた部分をこのように切除し、治療を完了することが出来ました。
よく、患者さんから『私の場合は、何回の手術で取れますか?』というご質問を受けます。
いつも書いていますし、私も認識していますが、刺青切除で患者さんにとって非常に重要な事は、『どれくらいの時間と金額がかかるのか』という事だと思います。
ただ、今回ご紹介した方のように、『工夫しないで切る』と術後に問題が起きることもあります。
いつも同じような事を書いていますが、治療を受けられる前に、金銭的な問題や治療期間、また傷の経過等もきちんと御確認されることをお勧めいたします。
た、能力の無い医師に能力以上の希望を伝えるとトラブルの元になる可能性があるということも認識していただきたいと思います。
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