まず、今回御協力いただいたモニターの方に、この場をお借りして深く感謝いたします。
前回ブログでは、ご紹介できなかった内容を盛り込みながら、同じ方をご紹介したいと思います。
当院は、他院全切開修正の方を数多く治療する日本でも有数の施設だと思います。
連日修正希望の方の手術を行っている為、前医の名前を聞くと、中の状態が想像できることも少なくなくなってきました。初診時に前医のお名前お聞きするのは、この意味で非常に大事ですので、うそをつかれないようにお願いしたいと思います。
また、カウンセリングで、“簡単に綺麗になりますよ!今日やりましょう!”と軽い感じで修正手術をしてしまう医師がいることも事実です。
修正手術は、受けてしまうと、修正不能となってしまうことも稀ではありませんので、よく考えてから手術を受けられることをお勧めします。
眠そうな幅広二重の修正手術
さて、今回は、『他院で切開法二重(全切開)を受けたら、二重が広く眠そうで不自然になった』というのが、ご本人の悩みでした。
まず、術前と修正術後1か月の状態を比較していただきたいと思います。二重がはっきりとして、二重の浮腫んだ感じも改善したのがお分かりいただけると思います。
このような方は、いつも書いていますが、
1.挙筋腱膜が離断していることにより、目が開け難く眠そうな感じが出ている。
2.瞼板前組織が切除されているために循環が悪く(鬱血している)、プックリ感が出ている。また、その組織がないために目を閉じた特に傷が凹んで見える。
というのが、症状の原因です。
したがって、この修正手術は、
1.離断した挙筋腱膜を修復する 。
2.瞼板前組織の代わりを他の組織で充填しながら循環を良くする。
3.新しい二重を作る。
という順番で治療を行います。言葉にすると簡単ですが、非常に高度な技術と経験値が要求されます。
術前のデザイン
ブログでは、中の状態をお見せできませんでしたので、順を追ってご説明したいと思います。
まず、手術デザインですが、傷の凹んでしまった部分の皮膚切除を中心としたデザインを行います。
この部分の皮膚や瘢痕組織のみを切除しても、症状が改善されることは、ほとんどありませんので、担当医から『皮膚を切り取って修正する』と言われた場合は、同じ手法で改善した他の方の写真を見せていただくことは必須だと思います。
術中の様子
術中の様子ですが、黄色い矢印で示した部分が前医で固定されていた糸です。
しかし、本来これにかぶせるように組織を移動しないと、ぱっちりとした目の感じは出ません。
小さい緑の矢印で示した部分は、本来長い矢印で示した部分にあるべきものですので、これらの位置修正を行います(写真4)。
この組織を移動している途中の状態をお見せします(写真5)。
こうして組織を移動すると先の状態とは大きく異なった様相になります(写真6)。
このように、組織を本来の位置に戻すというのが非常に重要なのですが、この際に組織を壊さずに綺麗に分離するという外科医本来の能力が要求されます。
また、術中に二重を作る際は、目を開け閉めして頂き、開眼程度を微調整するという作業も非常に大事ですので、『修正手術は、静脈麻酔を使用することが非常に難しい』ということになります。
抜糸後の腫れ
最後に術後5日目、抜糸時の腫れをご紹介したいと思いますので、ご参考になれば幸いです。
⇒目の他院修正手術についてはこちらに手術例をまとめております
手術名:全切開修正(他院)
最近は、『修正症例は是非当院で』というような医療機関も増えましたが、そのような先生の所で、さらに悪化させられ、この方のように、初回の修正手術でなく、複数回の手術を受けられている方にお会いすることも多くなりました。
修正手術は、非常に高度な技術が要求されますので、担当医が担当した『症例写真を見る』などして、担当医は慎重に選んでいただきたいと思います。
他院で切開法二重(全切開)を受けたら、二重が広く眠そうで不自然になったというのが、ご本人の悩みでした。
まず、術前と修正術後1か月の状態を比較していただきたいと思います。二重がはっきりとして、二重の浮腫んだ感じも改善したのがお分かりいただけると思います。