まず、このお話にご協力いただいたモニターの方に、この場をお借りして深謝いたします。
よく、『二重のラインをちょっとだけ治したい』という患者さんにお会いします。この『ちょっと』を治すために『ちゃんとした事』をやらないといけないというお話をご紹介したいと思います。
では、術前の状態をご紹介します。二重の幅は、特に問題は無いのだけれども、矢印で示した部分の皮膚が下がった様に見えて、二重のラインが気になるというのが、ご相談内容でした(写真1)。
二重のラインをちょっとだけ治すには内部の修正も必要
この様な場合、単純に皮膚を切除すれば良いと考える医者も少なくないのですが、この形状の原因は内部にありますので、皮膚を切除するだけでは、改善しないばかりか、悪化する可能性もあります。
この方が、どのように変化したのか、術後6か月の状態をお見せします(写真2)。
このような場合、皮膚を切除しただけでは改善しない(理由は後述)のですが、余っている皮膚を切除する必要もありますので、皮膚切除のデザインも行いました(写真3)。
余った部分のみを単純に切除せず、目頭側から目尻側までバランスよく切除するデザイン力が要求されます。
手術中の様子
術中所見(写真4)をお見せします。
矢印で示した部分の組織が欠如していて、この部分の力が上手く瞼に伝わらずに、二重の引きこみ方に影響を及ぼしていることが分かりました。
この部分を丁寧に修復するのですが、雑に扱うと組織が浮腫んでしまい、手術中に二重の形状評価が出来なくなってしまいます。
修復が完了した状態(写真5)をお見せしますので、先程の状態と比較して頂きたいと思います。
このように、ちょっと治すために、瞼の構造的な理解、修復が出来ないと、修正手術は上手く行きません。
『皮膚が余ってますから、その部分を切除して簡単に治せますよ』と安請け合いする医者には、非常に注意が必要です。
もちろん、皮膚切除のみで治ることもありますが、手術中に術前の診断と異なった場合でも手術中に適切な手段を講じることが出来るか否かが非常に大事だと思います。
それ故、経験値が多くなればなるほど、手術に対して慎重になり、『安請け合い出来なくなる』と思います。
手術は、一つ一つの工程を丁寧に積み上げるものだと私は考えていますので、手術時間も長めに設置をしています。
そのため、なかなか予約も取りにくい状況で、患者さんにはご迷惑をおかけしていますが、私一人で手術をしていますので、この点をご理解いただければ幸いです。