美容整形解説コラム

【画像付き】シリコンプロテーゼを使用した隆鼻術とは?メリットやデメリットを解説

隆鼻術とは鼻を高くする、鼻筋や形を整えることを目的に行う手術を指します。日本人は、元来目と目の間の鼻根部が低いという特徴を持った民族です。鼻根部を額より高くない程度に『自然』に高くし、鼻筋を通すと、顔全体がしまった印象になります。

鼻を高くするためにシリコンプロテーゼや自己軟骨を使用します。この記事では変形や劣化がほとんどなく、一生使用できると言われているシリコンプロテーゼを用いた隆鼻術について当院の事例も交えてご紹介します。

この記事の編著者

  • 1992年 東京医科大学卒業。2004年8月 山本クリニック設立。
    美容外科の手術を中心に行っているクリニック。 他院手術トラブル修正手術、海外で受けた修正手術にも対応している。日本アンチエイジング外科・美容再生研究会 元指導医。医療法人社団 豊季会 理事長。資格:医学博士(甲種)、日本外科学会認定医、日本アンチエイジング外科学会 名誉理事、JAASアカデミー最高指導医。

シリコンプロテーゼを使用した隆鼻術の特徴

シリコンプロテーゼを使用した隆鼻術は、鼻の穴の内側から挿入するので、傷跡が目立つことはありません。また以下ではメリットやデメリットなどのリスクに加え、ダウンタイムなど基本情報を当院の症例画像を参考にご紹介します。

シリコンプロテーゼを使用した隆鼻術のメリット

  • ヒアルロン酸注入による整形と異なり、一度シリコンプロテーゼを挿入すれば、半永久的に鼻の高さや形をキープすることができる
  • 自己組織を利用した場合と違い、術後『形や高さが気に入らない』といった理由でプロテーゼを抜くことができる

シリコンプロテーゼを使用した隆鼻術のリスク・デメリット

  • 抜糸までの5日間、鼻全体にテープ固定が必要です(マスクの範囲外)

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  • 術後3カ月程度、プロテーゼが安定するまでは気をつけて過ごしていただく必要がある

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  • プロテーゼのサイズが大きすぎたり、長すぎたり、または感染によって、発赤や熱感、痛みを引き起こす場合がある

シリコンプロテーゼを使用した隆鼻術のダウンタイムについて

手術後の腫れについてもご紹介したいと思います。こちらの画像は術後5日目、抜糸時の状態ですので、ご参考になれば幸いです。

鼻シリコンプロテーゼ隆鼻術は、術式としても難しいことはなく、傷も鼻の穴の中に出来るので、傷跡の心配はありませんが、術後の腫れは期間に個人差がありますので、手術を受ける上では、ダウンタイムが一番の問題かもしれません。

個人差はありますが、ダウンタイムの目安は概ね以下の通りです。

  • 術後5~1週間程度で抜糸
  • 術後1週間~10日程度で腫れが引く
  • 術後1カ月程度は就寝時にギプスを付ける

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シリコンプロテーゼの種類

隆鼻用シリコンプロテーゼには、L型とI型があり、鼻根部から鼻先まで鼻全体の形を変えたい場合はL型を、鼻筋だけを通したい場合にはI型を使用し、さらに一人一人の鼻の形に合わせて削り出しを行います。

当院の隆鼻術の特徴~自然な変化を心がけています~

当院では、自然な変化になるように心がけております。

この方は斜めから見ると、術前(写真3)と術後1か月(写真4)では、『すっとした感じに変わったが大きな変化は無い』ということが、はっきりとお分かりになると思います。

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この方は、若干の変化ではなく、鼻筋をすっきりとさせて欲しいという御希望でした。

鼻全体が高くなり、鼻筋が通ったのがお分かり頂けると思います。

ご本人曰くこの様な写真の変化でも、他の人からみると“あまり指摘されない”そうです。

私が大きな変化を出すのを得意としていないことは、数々の話で書いていますので、 “人に指摘されないくらいの自然な変化で”という方が多いのですが、この方のように比較的大きな変化を望まれる方もいらっしゃいます。

このような場合には、シリコンが大きすぎて数年後に飛び出したりしない“安全域”で鼻根部から鼻尖部までを高くするようにデザインしています。

【当院の事例】隆鼻術の術前・術後のデザイン比較

こちらの方は、『鼻の雰囲気をすっきりさせたい』というのがご希望でした。

当院は『最小限の治療で最大限の効果』の治療を模索することを心掛けていますので、この方にはシリコンプロテーゼを使用した隆鼻術をご提案しました。

鼻尖部分の大きさが大きくならないように気を付けていますので、術前後の変化を見て頂ければ、鼻尖自体の高さは、あまり変わっていないことがお分かりいただけると思います(写真7, 8)。

隆鼻術は、デザインによって、結果が大きく変わってしまいますので、担当医がどのような手術をするのか、どのようなセンスを思っているのかを考えることは非常に重要です。

このデザインをする能力を、私は『デザイン力』と呼んでいて、美容外科医に必須の能力です。

どこからどこまでのサイズのものにするのか、どの部分を高くするのかをプロテーゼと、このように皮膚に書くことによって、調和させます。

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後悔しないための隆鼻術のポイント~シリコンの長さや形状に注意~

最近、当院では、他院にてシリコン(プロテーゼ)隆鼻術を受けたのだけれども、なんだか形が気になるというご相談の方が増えました。

このような患者さんの中に一定割合で、『前医は、シリコンが飛び出さない安全な入れ方をしたから』と説明を受けたというお話を聞く気がします。

斜めから見た場合の、鼻筋の形に注意して頂きたいと思います。術前後の違いがお分かりいただけますでしょうか?(写真3, 4)

横顔で見て頂くと、非常に分かり易いと思います。術前の状態で黄色い矢印で示した部分で、鼻が下向きになっているのが、術後に改善しています(写真5, 6)。

※こちらの『術前』とは他院で隆鼻術を受けた状態のことを指します

これは、シリコン(プロテーゼ)の境界が上すぎるというのが原因です。

前医でのシリコン(プロテーゼ)の位置(写真7)と私が使用したシリコン(プロテーゼ)の位置(写真8)を比較して頂くと、その違いが、お分かりいただけると思います。

このように、途中までしかシリコン(プロテーゼ)を入れないと、その境界線が表面に出てしまい、形状的な問題に発展することも有ります。

さて、術後の腫れ方について御紹介したいと思います。

前にも書きましたが、このような場合は、前医でのシリコン(プロテーゼ)が容易に抜けるかが腫れ方に大きく影響しますので、個人差がかなり出てしまいます。

L型プロテーゼは不自然なアップノーズになる?

この方は、L型のプロテーゼ(シリコン)隆鼻術を他院にて受けられた後に、発赤を気にされてご来院されました。

発赤の理由として、L型プロテーゼが当たっていることが考えられます。また、それによって鼻尖が押し上げられてアップノーズにもなっていました。

今回はL型プロテーゼを抜いたほか、鼻尖形成修正を致しました。手術前と後の横顔の写真をご覧いただくと、術後は鼻根部、鼻尖の発赤が軽快した他に、鼻尖の位置も下がっていることがお分かり頂けると思います。

では、この方に入っていたプロテーゼ(シリコン)がどの程度の大きさのものであったかをお見せします(写真7)。

このサイズの物を抜去しても案外変化が少ないこともお分かりいただけると思います。
L型プロテーゼは、鼻尖を押し上げたりするため、長期的に見ると問題があるのかもしれませんが、短期的に見ると、術直後は綺麗だったりするので、どうなんでしょうね?というのが個人的な感想です。

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当院のシリコンプロテーゼを使用した隆鼻術の症例

(1)鼻筋をシリコンで通す(シリコンプロテーゼ)

術前
術後1ヶ月

今回は、当院で鼻シリコンプロテーゼ隆鼻術を受けられた方をご紹介いたします。

まず、術前と術後1ヶ月の状態を比較していただきたいと思います。

術前後の横から見た状態が分かりやすいと思いますが、鼻先が若干下を向いて、鼻根部が高くなっているのがお分かりいただけると思います。

L字型の足の部分をカットして短くし、患者さんのご希望である『自然な感じ』となるように、シリコン全体の高さも低めにデザインしてあります。

この手術で大事なのは、患者さんのご希望をお聞きして、シリコンを削ることだと思います。

どのような手術でも、術前カウンセリングが大事であることは常々お書きしていますが、この手術ほどその事が大事な手術も少ないと思います。

(2)鼻の雰囲気を変える!(鼻尖形成術+鼻シリコン(プロテーゼ)入れ替え術)

鼻尖形成術のみでなく、シリコン(プロテーゼ)を入れ替えることにより、鼻の雰囲気を変えた手法をご紹介したいと思います。

シリコン(プロテーゼ)を入れ替える際に、骨膜をいじらなければなりませんので、術後は腫れます。

瞼にまで腫れが広がるのが一般的です。

術後5日の抜糸時の状態をお見せしますので、御参考にしていただければ幸いです。
私の鼻尖形成術は、何回かご紹介をしていて、『シリコン(プロテーゼ)は、本当に必要だったの?』というお話も何回か書いていますが、鼻先の軟骨を縛り寄せただけでは、高さが足りないという場合もあります。

(3)鼻の形を整える!(シリコン隆鼻術+小鼻縮小術)

他院にて鼻尖形成を受けられたが、鼻の高さ、小鼻の左右差が気になるため直したいという症例をご紹介します。

手術は、シリコン隆鼻術、右側のみの小鼻縮小を施行しました。

小鼻にどの程度の効果が出ているかは、下から見た方が分かりやすいと思いますので、術前と術後1か月の状態をご覧に入れます。

小鼻の大きさが左右で、ほぼ揃い、鼻の穴の形状もきれいになったのがお分かり頂けると思います。

鼻を高くしたいとのご希望を受けた場合、鼻筋を通すと、鼻全体が高くなったように見えますので、シリコンの高さを十分に検討しないと、鼻だけが目立ってしまって『不自然な』形に仕上がってしまうことがあります。

使用したシリコンは、アジア人向けに特化された高すぎないI型の物を使用しました。

また、この方の小鼻の左右差は、右のみが大きいことによりますので、片側のみの手術で良いことが分かります。

手術に際し、治療計画を立てる能力も手術能力の一部であると思います。この方のように片側で済む手術は片側で済ませるように、手術を最小限に計画するということも大事だと思っています。

手術のデザインですが、私は、術前に術後の形状の揃い方を計算してのデザインをしています。

どの程度切ったら、術後に左右がそろうのかをイメージするというのは、経験値による部分も大きいので、術前には、こうしたことも含めて、担当医とよく相談することが大事だと思います。

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シリコン(プロテーゼ)の入れ替えについて

では、どのようなシリコン(プロテーゼ)に入れ替えたのかを御覧に入れたいと思います。(写真7)

矢印で示してあるものが他院のものです。

術前にこの方の鼻先が、下を向いたようになっていたのは、写真の中に細い矢印で示した部分のシリコン(プロテーゼ)が削られていたためです。

横から見て頂くと、はっきりとそれが分かると思います。

シリコン(プロテーゼ)自体も若干短いこともお分かりいただけると思います。(写真9, 10)

当院では、一見すると分からないのですが、鼻の上の部分が硬く、鼻先の方は柔らかい素材でできている『ハイブリッドタイプ』の物を好んで使用しています。

また、鼻先を削る場合は、表面ではなく、裏側から削る方が綺麗に仕上がります。

しかし、裏側から削るというのは技術と手間が要求されますので、担当医が『手抜き』をしたのかもしれません。

(4)複合手術について(プロテーゼ隆鼻術+鼻尖形成術)

鼻の穴が目立つというお悩みで来院された方に複合手術を提案した例をご紹介します。

鼻の穴を目立たなくすると聞くと、小鼻縮小術や鼻孔縁下降術といった手術を思い浮かべる方がいらっしゃるかもしれません。

私は、『鼻筋をすっきりさせ、鼻先の形状を変えれば、副次的に鼻の穴が小さく見える』と考え、ご本人には、1.プロテーゼ隆鼻術 2.鼻尖形成術(団子鼻手術)をご提案させていただきました。

ご本人には、術後に『気に入って頂く』ことが出来ました。

この点が非常に大事で、患者さんご本人がどのようにしたら、最小限の手術で満足を得られるのだろうかという事を、私は常に考えるようにしています。

鼻尖の術中の処理について

鼻尖の形状によって、『鼻の穴の見え方も変わる』ので、鼻先の軟骨の処理には、私なりの工夫があります。

術前術後の状態比較

下から見た術前後の状態(写真6, 7)をお見せしますので、比較して頂くと、ほっそりとして、鼻の穴の形も変わっていることに気が付かれるはずです。