結膜を切開して脂肪を摘出する目の下のたるみ取り
目の下の弛みを取る手術で、皮膚を切開する方法については以前書きましたが、今回は結膜を切開して脂肪を摘出する手術のご説明をしようかと思います。
この手術は、手技としては登場してから、数十年が経過してしまったので、新しい手術ではないのですが、以前はレーザーの変わりにメスを使っていたために、出血等の問題から一時期廃れてしまいました。
ところが、レーザーが安価で手に入るようになり、またレーザーの特性から出血が格段に減少したために、最近では、メジャーになったという経緯があります。
この写真の使用を快諾していただいた患者さんにはこの場をお借りして深く感謝いたします。
手術の種類や目的に関しては、以前お書きしましたので、今回は割愛させていただき、手術の具体的な方法をお示ししようかと思います。
この手術の目的はあくまで“脂肪を摘出すること”なので、皮膚や筋肉が弛みの原因の場合は“改善されない”ということになります。
現実的には、皮膚の弛みも筋肉の緩みもあまり無く、脂肪の緩みだけの30代の方が適応となることが多いと思われます。
この手術の宣伝文句は、“傷が見えない”“腫れない”ということなのですが、現実的な手術をお見せしてこれについてコメントしようかと思います。いつもしつこく書いていますが、これはあくまで“私の手術”であり、“私の見解”ですので、この点については誤解されないようにお願いいたします。
手術中の様子
まず麻酔ですが、目の下の皮膚と結膜両側から局所麻酔を刺します。目の下を“あっかんべー”の状態にし、レーザーで切開します(写真1)。
レーザーで作られた傷は写真に示すように“出血がほとんどありません”(写真2)。
この後脂肪隔膜(脂肪が入っている袋)を開き、中の脂肪を取り出します(写真3)。
適量の脂肪を切除したら、開けた穴の一部分を溶ける糸で縫縮します(写真4)。結膜は縫わなくてもきれいにくっつくので、このままにします。
経結膜脱脂手術のメリットとデメリット
このように、
1.手術中の操作は深部に及びますが、皮膚をはがしたりしないので、皮下出血が起こる事が少ない
2.傷が表面から分からない
というのが、この手術の利点だというのがお分かりいただけると思います。
しかし、
1.この手術は時として視野が悪いので、出血させると止血が難しく、皮膚側から切開を加える可能性がゼロではないということ
2.出血させると広範囲の“皮下出血(青たん)”が出来てしまうこと
3.術後結膜の傷から少量の出血を起こし、“血の涙の出る可能性がある”ということ
4.結膜の傷から滲出液(擦り傷の時に出る黄色い汁)が出るために、一時期、目やにが多くなること
5.手術部分が、一時的に“なんとなく腫れてぷっくりする”
等が問題点で挙げられると思います。
また、この手術は手技的には、あまり難しくないのですが、“脂肪を取りすぎると、老け顔になる”リスクがありますので、私は個人的に緊張する手術です。
摘出脂肪の量に関しては、担当医の経験によるところが多く、曖昧な基準しかありませんので、術後の効果や経過については、術前に担当医から十分な説明を受ける事をお勧めいたします。