まず、このお話にお写真を提供していたモニターの方には、この場をお借りして深く感謝いたします。
眼瞼下垂という言葉は、マスコミの影響で一般の方にも認知される状態になりました。
しかし、美容外科医にも眼瞼下垂と気づかずに手術をしてしまう先生がいるように、その状態把握はまだ不十分だと言わざるを得ないと思います。
診察室で、『眼瞼下垂って、目が開かない病気ですか?』と聞かれることも稀ではありません。
ここで、眼瞼下垂の医学的な説明はさておいて、『目を上げる力が弱くなった状態』と認識していただければ十分だと思います。
目を開ける力が弱いために、おでこや眉間の筋肉を動員して目を開けるという動作をします。
したがって、症状として、肩こりや頭痛というようなものの他に『おでこのしわ』『眉間のしわ』が出ることも稀ではありません。
目を開ける力が弱いので、二重の手術のみをしてしまうと、十分に目が開かずに、術後に眠そうな感じに仕上がってしまいますので、術前の診断は非常に大事です。
さて、今回の方をご紹介しますが、術前の状態(写真1,2)と術後約3ヶ月の状態(写真3,4)をお見せいたします。
ご本人としては、眼瞼下垂という認識は無いのですが、右のおでこのしわが多く、右眉毛が左眉毛より挙がっている状態は明らかに眼瞼下垂ですので、『右眼瞼下垂手術』を行う必要があります。
この方は、術中所見で、左側の眼瞼下垂も認めましたので、『両側眼瞼下垂手術』を行いました。
患者さんからすると、切開二重の手術と眼瞼下垂の手術では、何が違うのかというお話になってしまうと思います。
手術をする側からすると、眼瞼下垂の処置をするか否かという事なのですが、受ける側からした場合の大きな相違点は、『腫れ』だと思います。眼瞼下垂の手術では、挙筋腱膜に触れるのが一般的ですので、その分の腫れが長引いてしまうのが特徴です。
この方の術後5日目の抜糸時(写真5, 6)、術後1か月の状態(写真7, 8)をお見せしますので、ご参考にしていただければ幸いです。
前述しましたが、眼瞼下垂の手術を出来る技量がない担当医に手術されると、『眠そうな二重』になってしまう可能性があります。
術前の担当医選びの際は、その先生が実際に手術された眼瞼下垂手術症例を見せていただくことが大事かもしれません。
また、眼瞼下垂、切開二重を問わず『閉じた目の傷』を気にされて、私の所にいらっしゃる方も後を絶ちませんので、術前には担当される先生の術後閉眼時写真を良く見て検討することが大事だと思います。