手術名:口唇縮小術(下)
まず、このお話にご協力いただいたモニターの方に、この場をお借りして深謝いたします。
下口唇縮小術は、唇を薄くしたい、小さくしたいという方のための手術ですが、どの程度小さく出来るのか?という部分には制約があります。
この手術は、『切って、縫うだけの単純な手術』ですが、どの程度切るかという事で、傷口が口の外に出てしまい、『ツートンカラー唇』になってしまうために、必然的に制約が出来てしまいます。
このツートンカラーになってしまうと、当院では対応不能です。それ故に、どう切るかのデザインは、非常に大事な問題です。 では、術前(写真1)と術後3か月(写真2)の変化をご覧頂きたいと思います。
下口唇のボリューム感が下がり、サイズも小さくなっているのですが、『あんまり変わってない!!』と思われた方もいらっしゃるかと思います。
しかしながら、少し開口した状態を比較すると、術前(写真3)と術後3か月(写真4)では、唇に張りが出ている感じがお分かり頂けるのではないでしょうか?
唇は口輪筋という筋肉があって、その周りに組織が存在していますので、ちょうど口輪筋が『芯』のような状態で存在しています。
この周りの組織を切除すると、芯の大きさは変わりないので、『張った感じが出る』というのは、想像し易いのではないでしょうか。
この方の、手術デザインをお見せしたいと思います(写真5)。
変化が少ない割には、たくさん切るのだというイメージを持って頂くと良いと思います。
先程書きましたが、この手術は、傷口が外側に出てしまうと、ツートンカラー唇になってしまいますので、口を閉じた状態を確認することが非常に大事です(写真6)。
当然のことながら、術後はサイズダウンしますので、このことは頭に入れて『若干多めに切る』という事も忘れてはいけないと思います。
これを知らず?に手術されて、悲惨な状況になっている方にお会いする事もありますが、『切って縫うだけだから』と安易に『見様見真似』で手術する先生がいることも事実だと思います。
以前、私の講習会に切開二重を見たこともやったこともない先生が勉強に来ましたが、数週間後にその先生に手術された方が、修正手術の相談で当院にいらした時には、非常にびっくりしましたし、医者として許し難い怒りも覚えてしまいました。
そうした被害に会わないためにも、『手術する先生の症例写真』を入念にチェックすることが大事だと思います。
『切って縫うだけだから』『簡単な手術なので、大丈夫ですよ』といった根拠のない軽い言葉に躍らせられないように十分にお考え頂きたいと思っています。
手術では、唇は『切る際の厚さ』が非常に大事で、均等な厚さに切るだけでなく、患者さんの状況に応じて、部分的に深く切ったりという調整も出来なくては、手術は成立しません。
術後は、非常に腫れる手術ですので、術後の腫れ方に関しては、私の『ブログ』にてご紹介する予定ですので、興味が有る方は是非ご覧頂きたいと思います。
いつも同じようなことを書きますが、切って縫うだけの単純な手術でも各医療機関、また同じ医療機関でも担当医によって、『それぞれのやり方』があります。ご自分が受けようと思っている担当医が、どのような手術を行っているのかを術前によく確認することをお勧めします。
また、切ってしまったものは元に戻せませんので、術前の慎重な検討を重ねてお勧めいたします。